浦井が劇中で一番好きなシーンは?
ここで、本編を観終わった後の観客から質問を募集するティーチインのコーナーを開催。
一人目は、「オダギリジョーさんが大好きで、兄の車のナンバーがオダギリさんのお誕生日のナンバーになっていたと思うのですが、ナンバーの前の“お”はお父さんの“お”ですか?」というもの。これに、「車のナンバーは美術部さんの愛なんですよね。オダギリさんの“お”なのか、お父さんの“お”なのかは僕もわからないのですが、美術部さんに聞いてみますね」と、優しく微笑んだ監督なのでした。
二人目、「ノンフィクションのエッセイを映画化する難しさは?」という質問に対して監督は、「難しいというよりか面白い点は、ご本人に取材ができること。今回は原作6割、取材2割、僕のオリジナル2割でという形でつくったのですが、兄の焼きそばのくだりなど、小説にはない部分を入れられることが面白さかなと思います。」と語りました。
三人目、「理子と兄の過去の回想のシーンで、兄が自転車の後ろのかごに理子を乗せて運んでいる姿が、『兄を持ち運べる』という部分と対比しているように見えたが、何か意図はあったのか?」という質問に監督は、「対比までは狙っていなかったのですが、最後お兄ちゃんに抱き着くシーンを撮りたかったので、画的にも妹を一生懸命運んでいるシーンはつくりたかったんです」と、説明しました。
監督から劇中で一番好きなシーンを聞かれた浦井は、「最後、良一くんが図書館のレストランのシーンで、涙ながらに話すシーンです」と回答。「そこを観て涙が止まらなくなってしまって、やっと母・加奈子(満島ひかり)のことを許せるようになったからの涙なんだろうなと思って、あそこがグッときました」と、会場にいる味元にも呼び掛けました。
監督が髭を触りながら近付いてくるのは…
最後には観客から、会場にいる味元についての質問も。「味元の演技が上手いなと思った点は?」と聞かれた監督は、「オーディションの段階で、自分のセリフでタイミングを話していたんです。ちゃんと自分の言葉にして話そうとしている姿を見て、すごいなと思いました。今回の良一という役も、喋らずにどこか表情で寂しさや憂いを表現できる方がいいなと思っていたので、その感じも味元くんは持っていました」と味元を絶賛。
さらに監督からの、「この役は味元くんにやってもらおうと思っていたので、現場でも、もうお任せしていました。見事にやってくれたと思います!」という言葉に、会場からは大きな拍手が沸き起こりました。
そんな味元も、「監督はOKな時はすぐOKなんですが、もう一回っていう時は、髭を触りながら考えて近付いてくるんです。それが印象に残っています」と、監督の微笑ましいエピソードを披露し、それに照れ笑いする監督でした。