どうも、芸人ライターのてんぐ・横山ミルです。芸人の中には、漫才やコントだけではなく、特技を仕事にする人も多くいます。その1人が、僕の同期であり、一緒に住んでいたこともある任侠編み物芸人、アイパー滝沢です。「任侠の人」という怖いイメージのキャラクターなのに、編み物が特技。さらに編み物ワークショップを日本各地で行うという、編み物業界で大注目の芸人なのです。そのアイパー滝沢が、なんと編み物ブームに乗っかり、12月15日(月)に初の編み物本『アイパー滝沢のポゥシェット編み物道』(日東書院本社)を発売します。ということで、今回は本人にインタビューしてきました!

キャラクターと真逆の特技を探す
――改まってこうやってインタビューするのは変な感じするけど。
(任侠の言い方で)ホゥ!
――ラジオとかじゃないから、話し方は普通でいいよ(笑)。まず初めに、編み物を始めた具体的なきっかけは何だったの?
オフィシャルとノンオフィシャルの発表があるけど。
――ノンオフィシャル? じゃあ、オフィシャルから聞かせてほしいです。
もともと、俺は刑務所入っていたときの刑務作業で編み物をやっていたわけよ。一生懸命、編み物を覚えたから、シャバに出て、芸人になってもやろうじゃないかということで、またやり始めたっていう……。これがオフィシャル。
――キャラクター的な答えってことね(笑)。では、ノンオフィシャルは?
プロフィール欄に、特技・趣味を書くところあるじゃん? 書くことがなかったわけ。でも、芸人として何かあったほうがいいなって。でも「趣味は読書」とか、「映画鑑賞」とか書いても面白くないし。じゃあ、みんながイジってくれるものないかなって探し始めたの。やっぱり自分のキャラクターと真逆な特技がいいと思って、いろいろ試してみたんだけど……。

――たとえば、どんなものを試したの?
お花とか木彫り、氷細工、飴細工とか、スイーツに詳しくなるとか。でも、やっぱりすごくおカネがかかるわけよ。スイーツだって食べるから太っちゃうよ。年齢的に病気になっちゃうかもしれないし。それで、いろいろ調べていたら、編み物に出会ったの。編み物は毛糸も針も100円均一で揃えられるから、200円で始められるわけ。
それでやってみたら意外に楽しいの! しかも楽屋でやっていたら先輩とか同期に「何してんの?」ってツッコんでもらえるようになった。だから、何か面白いものを作ったら、もっといけるんじゃないかなって思ったんだよ。まぁ、単純に編み物にハマったのかもしれないけど。
芸歴の半分以上、編み物をしてきた
――もともと手先は器用だったの?
器用だと思う。むかし、ギターもやっていたし。けっこう上手に弾けていたのよ。BOØWYのコピーバンドをしたりして。それに小学校のときには、自由研究で空き缶に紙粘土をつけて「かわうその貯金箱」を作ったら、入賞したりして。そう考えると、やっぱり器用なのかなと思う。モノを作るのは好きだしね。
――編み物をしていて挫折ってなかった?
いや、ないね。お客さんが笑ってくれるからね。まず「編み物をしています!」で笑ってくれるし、「コースター作ったんです!」で笑ってくれる。任侠の世界らしく、拳銃の銃口をカバーする「チャカカバーを作りました!」で笑ってくれるし、それが楽しいから挫折ってないね。

――お客さんが笑ってくれるから、どんどん新しいものを作っていくんだね。
そう。これ作ったらウケるだろうなぁって思いながら創作するし。とにかく人が作っていないもの、芸人として面白いものを作りたいね。
――それがチャカカバーとか、ドスを入れるドスケースだね。編み物歴はどのくらいになったの?
もう12年かな。芸歴が22年だから、気づけば芸歴の半分以上は編み物しているね。それでやっと本を出版できるようになった。