
『オールド・ボーイ』(04)でカンヌ国際映画祭グランプリ、『別れる決心』(22)で同映画祭監督賞を受賞、常にタブーを打ち破り、緻密さと完璧な美学で観客を魅了してきたチャヌク監督。新たな地平を切り拓く衝撃作を発表し続けてきた巨匠が放つ最新作では、現代社会に生きる誰もが直面し得る“突然の解雇”という現実を独自の視点で描きだし、人間ドラマ、スリラー、そしてチャヌク作品としては異例の弾けるユーモアが交錯する。ヴェネチア国際映画祭コンペティション出品をはじめ、トロント国際映画祭で国際観客賞を受賞するなど、国内外の映画賞で数々の栄誉を受け、2026年の第98回アカデミー賞で国際長編映画賞の韓国代表としてオスカーも狙う意欲作がいよいよ日本に上陸する。
主人公マンス役を務めるのは、ハリウッド作品でもキャリアを積んだ「イカゲーム」のイ・ビョンホン。『JSA』(00)以来25年ぶりの長編映画タッグとなったチャヌク監督作品で新たな境地を開拓する。ビョンホンとともに夫婦を演じるのは、大反響を起こしたドラマ「愛の不時着」のソン・イェジン。結婚、出産を経て満を持しての復帰作となった本作で、“韓国のオスカー”と称される青龍映画賞主演女優賞を受賞。さらにマンスのライバル役に扮するイ・ソンミンも同賞で助演男優賞を受賞した。ほかにも韓流作品でお馴染みのパク・ヒスン、ヨム・ヘラン、チャ・スンウォンら実力派キャストが物語に厚みを与える。

このたび、25年間勤め上げた製紙会社を突然解雇され、再就職を懸けて“死闘”を繰り広げていくビョンホン扮する主人公マンスを取り巻くキャラクターたちをとらえた場面写真が解禁。マンスの再就職を献身的に応援し家計を支える美しい妻ミリ(イェジン)のほか、マンスの行く手を阻むアクの強いライバルたちとして、元エリートパルプマンのプライドを捨てきれない失業者ボムモ(ソンミン)とその妻アラ(ヘラン)、順風満帆な製紙会社の班長ソンチュル(ヒスン)、製紙業界への復帰を狙いながら靴屋で働く技術者シジョ(スンウォン)らがマンスと対峙する姿が切りとられている。
泥沼の戦いの最中、マンスが見つけた“しあわせな選択”とは?業績不振によりリストラの波が押し寄せる製紙業界を舞台に目まぐるしく展開されていく就活サバイバルとなる本作に期待が高まる。
文/鈴木レイヤ
