今年9月の全米オープンで現役を引退した女子テニス元世界ランキング4位のカロリーヌ・ガルシア氏(フランス/32歳)が、12月8日に自身の公式SNSを更新し、自身が運営するテニス系ポッドキャスト『Tennis Insider Club』に対するベッティング(賭博)企業からの高額オファーを断ったことを明かした。
投稿によるとガルシアはとあるベッティング企業から同ポッドキャストに提示された 27万ドル(約4200万円)もの契約オファーを拒否。投稿で彼女は賭博行為がテニス選手に対する誹謗中傷の増加に影響していることから、「そういった類のビジネスには関わりたくない」と説明した。ちなみに2024年に選手への侮辱的投稿12,000件を調査したところ、そのおよそ半数が賭けに負けたギャンブラーによるものだったという。
しかしそれとは裏腹に近年はテニス界が賭博産業との結びつきを強めている印象だ。23年にはATP(男子プロテニス協会)がスイスのスポーツテクノロジー企業「Sportradar」社と複数年契約を締結。チャレンジャー(下部大会)を含む全ての大会のデータを同社に提供しており、スポーツベッティングの興行的側面はより強固なものになっている。また現在は男子国別対抗戦「デビスカップ」でも賭博企業「Stake」がベッティングパートナーを務めているほどだ。
今回の投稿でガルシア氏は『Tennis Insider Club』で数々の選手にインタビューを行なってきた経験を踏まえ、次のように綴っている。
「この2年間、選手やそのコーチ、代理人や親たちにインタビューしてきましたが、その中で繰り返し話題に上がったテーマが賭博行為でした。それは現代スポーツにおけるプレッシャーや虐待、憎悪を生む要因の一つになっています」
「トップ10選手から下部のITFツアーを転戦する苦労人まで、誰もが賭博絡みの経験を語っています。試合後にはダイレクトメッセージが侮辱的な言葉で埋まり、賭けに負けた腹いせに『金を返せ』と迫られ、果ては殺害予告まで届く。こんなことが起きるのは、スポーツそのものではなくギャンブルが原因です。私はTennis Insider Clubが、たとえ間接的な形であっても、ギャンブル依存症を助長する上に人生を壊し、選手を標的にするようなものに加担することは望みません」
さらに同氏は賭博産業と提携する人々を批判したいわけではないとしつつ、こう続けた。
「私は単に何を支持し、何を増幅させたくないのか、その選択をしているだけです。私たちの使命は、テニスの内側からリアルなストーリーを伝え、人々を鼓舞し、アスリートやファンに健全な形でスポーツを成長させること。ベッティングマネーを受け取れば、それとは反対の方向へ進んでしまいます。
選手たちが、恐れや葛藤、精神面の苦しみまで率直に話してくれる番組であり続けたいなら、私たち自身がお金よりも価値観を重んじる姿勢を見せる必要があります。27万ドルという金額は引退したばかりの私にとっても、番組にとっても莫大ですが、長期的に見れば誠実で、スポーツのためになるものを築いていく価値の方が大きいのです」
ガルシア氏自身も現役時代に誹謗中傷を受けたことがあるだけに、今回の判断にはより重みが宿る。
文●中村光佑
【画像】賭博企業の高額オファーを拒否したと明かしたガルシアのインスタ投稿
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