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映画『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』大河原恵監督インタビュー「悲しい気持ちを抱えている時も、同時に素敵なことが起きている」

映画『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』大河原恵監督インタビュー「悲しい気持ちを抱えている時も、同時に素敵なことが起きている」

横溝千歳と交際していた春田望は、ある日、横溝が自分ではない別の女性と結婚することを知る。結婚式の当日、春田は式に乗り込んでその場から走り去る。式場から逃走する道中で、カステラを乗せたバイクとの衝突事故に遭ってしまった春田。病室で目を覚ますと、そこには横溝の姿をした”カステラ”を名乗る男がいた……。


ポレポレ東中野での上映を皮切りに、全国で順次公開中の『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』。これまで様々な国内映画祭で注目を集め、人々が内に秘める恋心や生きづらさなど、簡単な言葉では表現し切ることのできない複雑な感情を掬い取り、独自の視点や言語感覚で映画へと昇華してきた大河原恵監督にお話を伺いました。


——本作の着想を得たきっかけを教えてください。

『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』というタイトルにも紐づいているのですが、自分が感傷的に生きているうちに目の前で素敵なことが通り過ぎていく実感がある瞬間があって。悲しい気持ちを抱えている時も、同時に素敵なことが起きているということを映画として書き留めておきたかったんです。

——個性溢れるキャスティングについて。みなさん先に決まっていたのですか?オーディションなども行ったのでしょうか?

もともと当て書きをしているキャラクターも多い作品なのですが、オーディションも行いました。過去作品に出演いただいている俳優の方や、私自身が映画やドラマで共演した方などが決め打ちで、その方がどういう役をやったら面白いか、脚本を書いていく中で考えていた部分もあります。

——セリフの言い方やタイミングがとても独特で素敵でしたが、脚本にどの様に落とし込んでいるのでしょうか?

実際に言葉で発してセリフを書いています。撮影に入る前にも2度ほど読み合わせをして、そのときにキャストの方がどのようにセリフを話すのか確認しました。これまでの作品では、自分のイメージ通りの声音で喋ってほしい思いが強かったのですが、イメージに固まりすぎない豊かさがあるということにここ数年で気が付いたので今回はキャストの方の演技を生かしながら撮影を進めていきました。

——イメージを映像化する際に、難しかった部分や、逆に想像以上のものができた部分はありますか?

結婚式場で、集合写真の撮影中に主人公が乱入するシーンでは、自分が想像していた以上のものが撮れたかなと思いました。あのシーンは出演者が20人以上いて、みなさんの演技がそれぞれすべてマッチしていましたし、エキストラの方も含めて非常に素敵でした。難しかった部分はたくさんあって、特殊効果を使っているシーンがあるんです。普通の生活では起こらない現象を人力で表現しようと考えていましたが、人力には限りがあって……(笑)スタッフの方と考えながら進めていきました。

——カステラ役の肩にカステラが乗っかっているのが印象的でした。どのように乗せていたのでしょうか?

衣装の中に姿勢矯正ベルトを仕込んでいて、ベルトとカステラに磁石をつけて装着しています。ジャケットの肩の部分を削ったりもしました。あのカステラ自体は蝋(ロウ)でできているので、落ちても問題ありません(笑)。全速力で走るシーンだけはカステラが落ちてしまって、何度も撮り直した記憶があります。

——実際にさまざまな方がこの映画をご覧になっています。反響をどう感じていらっしゃいますか?

意外と冷静に受け止めています。大阪アジアン映画祭での感想や、作品をひと足先にご覧いただいた方からの推薦コメント、劇場の方からの感想などを通して、自分がこの映画に託した想いみたいなものがちゃんと届いているんだなと感じました。

——次回作に向けて、本作での経験を今後どう活かされますか?

言葉を紡いで映画をつくっていくということは引き続きやっていきたいです。それに加えて、もう少しカメラの動きなどにより関心をもって挑みたいなと。次作でも色々なことに挑戦したいですし、少ない登場人物のみで脚本を書いてみたいとも思っています。

『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』
全国順次上映中
©︎2025『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』
公式HP:https://sutekisugite.com/

配信元: ガジェット通信

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