製造所「柄木田製粉」の商品を取り上げるのは、当連載では今回で12品め。美味しいイメージがあるメーカーだが、いまいち特徴が掴みづらいところがある。
なにせ初登場は七割蕎麦。太切り蕎麦なんて変化球も持っている。かと思えばド真ん中ストレートに十割蕎麦。五割もあるし、八割もある。なんでもござれのメーカーだ。
これまで柄木田製粉の蕎麦の評価は、松(文句なしの外)もあれば、竹(外)もあるし、梅(家)もあった。だが、今回の蕎麦は「外だな」という予感がしていた。
まずは無難に八割そば。そして、喉ごし推しの、そば湯も推し。これは私の勝手な解釈だが、「八割」で「そば湯とれる」と書いてあったら、なぜかだいたい無難にウマイのだ。
その解釈は、正しいのか?
デカい鍋に湯を沸かし……
4分半ゆでて……
冷水(氷水)で冷やし……
完成。
して、そのお味は──
おいしい! 喉越し、よし! 喉越しは、よし!
だが、食感は……。
麺腰が強すぎる。跳ね返るほどに。食べた、噛んだ → 跳ね返りで口あんぐりレベルのコシの強さ。
まるでゴム。そう、まるで輪ゴムを食べているような食感なのだ。
しかしウマイので、咀嚼すると輪ゴムであることも忘れられるのだが、新たに食べると輪ゴムであり……の繰り返し。
輪ゴム → うまい! → 輪ゴム → うまい! → 輪ゴム → うまい!
……となり、「輪ゴムって美味いのかな……」なんて錯覚にも陥ったりもして、それはそれで貴重な体験ではある。
「家そば」か「外そば」かなら外であろう。詳しいジャッジは、味は完全に外判定だが、食感に関しては家というか「審議」になる輪ゴム感。
もしかしてこの蕎麦は「冷」で食べるべきものではないのかもしれない。ホカホカつゆの温そばで、麺を柔めにして食べた方がストライクなのかも。
「八割」で「そば湯とれる」と書いてあったら、なぜかだいたい無難にウマイ説は、半分正解、半分不正解。食感に関しては、茹でてみないとわからない。
執筆:干し蕎麦評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24
