
ディズニーの悪役たち(ヴィランズ)にインスパイアされたキャラによる人気ゲーム「ディズニー ツイステッドワンダーランド」(略称:ツイステ)。そのコミカライズ版をベースとしたダークファンタジーアニメ「ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション」シーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」が配信中だ。12月3日に第6話「単独レギオン!」が配信され、残すところ2話となった中、SNSで「マジですごい」「激ヤバ」などと反響が上がるメインキャラクターの声を務める花江夏樹がけん引する物語の魅力に迫る。(以下、6話までのネタバレを含みます)
■舞台は“ハートの女王”の厳格な精神に基づく寮ハーツラビュル
原案となったゲームは、「黒執事」を代表作とする漫画家の枢やな氏が原案・メインシナリオ・キャラクターデザインを手掛けた作品。「ライオン・キング」「リトル・マーメイド」などのディズニー作品のヴィランズという唯一無二のエッセンスと魔法士養成学校(ナイトレイブンカレッジ)を舞台とした、作り込まれた世界観が人気となっている。
アニメーション版では、魔法が存在する世界“ツイステッドワンダーランド”に現実世界から迷い込んだ男子高校生のユウこと円満雄剣(CV:阿座上洋平)が、名門魔法士養成学校の寮生たちによるトラブルに巻き込まれながら、元の世界に戻ることを目指す。
10月29日から配信スタートしたシーズン1「エピソード オブ ハーツラビュル」は、映画「ふしぎの国のアリス」(1951年)の“ハートの女王”の厳格な精神に基づき、リドル・ローズハート(CV:花江)が寮長を務めるハーツラビュル寮を舞台に物語が展開されていく。
■花江が放つリドルの「オフ・ウィズ・ユア・ヘッド」に身震い
ナイトレイブンカレッジには7つの寮があり、生徒たちは魂の資質によって振り分けられ、授業を受けて魔法の研さんを積んでいく。そんな中、ハーツラビュル寮の寮生たちは、ハートの女王の定めたルールを必ず守らなければならず、違反すればリドルにより罰せられる。生徒たちは、魔法士として自身の個性や特性によって“ユニーク魔法”を習得するのだが、リドルのそれは他人の魔法を一定時間封じ込める「オフ・ウィズ・ユア・ヘッド(首をはねろ)」だ。
文字ではするっと読めてしまうが、そこに感情が込められるとなんとも恐ろしい響きになる。第1話でリドルは早速その言葉を放った。入学式の日、魔法士を夢見るモンスター・グリム(CV:杉山紀彰)が暴走してしまったときだ。そもそもユウが迷い込んできたため、厳粛な入学式が壊されて、いらだちを募らせていたリドル。
グリムが放つ炎からユウが守ろうとし、「大丈夫か」と言われて驚くも、すぐに「誰に向かって言っておいでだい!」と声を荒らげた。そしてグリムに向かって「オフ・ウィズ・ユア・ヘッド!」と言い、グリムは魔法を封じる首輪を着けられた。
この第1話から、リドルを演じる花江の演技力のすごみが発揮され、引き付けられた。ゲーム版からの続投であり、ゲームでも声の演技を称賛されていた花江。3月に「AnimeJapan 2025」内で行われた「ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション」スペシャルステージに出席した際、「ゲーム以上に動きがあるので、そこをどう演じていけるかが楽しみでした」と語っていたが、進化したともいうべき、感情表現があった。
リドルの厳格性が表れた独り言や息づかい、感情が爆発する寸前の震え、そして聞くだけで縮み上がるようなユニーク魔法の言葉。繊細で、丁寧で、それでいて爆発力のある表現力にうなる。

■花江の怒りの演技が物語をけん引
リドルはそれ以後も怒る場面が多々。ハーツラビュル寮の新入生・エース(CV:山下誠一郎)は、「ハートの女王の法律 第304条、ハリネズミがくしゃみをした日は、トランプ兵がそろって歌を披露せねばならない」や「ハートの女王の法律 第89条、女王の許しなく、タルトを先に食べてはならない」に、次々と違反してしまい、首輪を着けられてしまった。第4話では、エースがそれを食堂で「心の狭さが激ヤバなんだよ」と愚痴ると、背後から忍び寄ったリドルが「ふぅ~ん、僕って激ヤバなの?」と言った様子にゾクゾクした。
視聴者からは「威圧感ある」「『僕って激ヤバなの?』って言い方、まじ好き過ぎる」「その言い回しが激ヤバ」といった声が上がった。
そんな花江のダークな“神演技”は、物語終盤に突入した第6話で、さらに深まる。エース以外にも規則を破ったとして多くの寮生たちが首輪を着けられ、嘆きや不満があふれる中で開かれたハーツラビュル寮伝統の「なんでもない日」のティーパーティー。エースは謝ろうとしてパーティーで出すことは法律で禁じられているマロンタルトを作ってしまい、「なんでもない日が台無し」とリドルは激高する。
すると恐ろしさからの静けさを打ち破るように、ユウが「その規則、本当に守る必要があるのか?誰もマロンタルトに迷惑しているようには見えないが…」と指摘し、エースも「そうだよ。バッカじゃねえの」と続く。
一瞬ひるんだものの、リドルは自分が寮長になってから7つある寮の中で唯一留年者や退学者を出していないとして「口答えせず、僕に従っていれば間違いないんだ!」と言い放つ。しかし、エースが「暴君」と言ったことで、怒りは頂点に達し、「こいつらをつまみだせ!」と命じた。
■インスパイア元の映画に基づいた面白さ
怒りの沸点が続く花江の演技に震えっ放しだ。だが、その怒りにはリドルなりの信念が潜んでいることがクライマックスの見どころになるはず。第6話では、信念が築かれた過去が紹介されたが、リドルの優しい声色や、ふとしたときの息づかいから、“悪”というのではない、心の揺れが伝わる。
劇中には、ディズニー映画「ふしぎの国のアリス」の映像も使われているのもぜいたくで、リドルが繰り出すハートの女王の法律を確認すべく、元映画も見たくなる。リドルが顔をゆがめて癇癪(かんしゃく)のように怒るのも映画のハートの女王と同じだし、「暴君」はアリスのセリフにあった。あらためて元映画の面白さに気付くのも本作のポイントだ。他のディズニーアニメも含め、ツイステの世界に元ネタを見つけていくのも楽しい。
ディズニーヴィランの魂を宿したリドルを、花江が最後までどう際立たせるのかに期待が高まる。“ヴィラン”というひねりが利いた視点で、ドラマ性があって、こうも心が揺さぶられるというのが興味深く、シーズン1の終盤もディズニー愛がぎゅっと詰め込まれた物語を堪能したい。
「ディズニー ツイステッドワンダーランド ザ アニメーション」は、毎週水曜に新エピソードをディズニープラスで独占配信中。
◆文=ザテレビジョンアニメ部


