現役ドラフトが奏功して息を吹き返し、新天地で一気に主力となった成功例が続発。4年目の開催となった今年は12月9日に行われたが、巨人、ヤクルト、オリックスなどは2年連続して、それぞれ日本ハム、広島、西武という同じ球団から選手を獲得した。
その中で、早くも「取扱説明書」なるものが作成された投手がいる。これはファンコミュニティーサイトで、選手を送り出す広島ファンが「ヤクルト向け」に発信しているものだ。さっそく見てみよう。
●武器は150キロ台の伸びのあるストレート
●プロ入り後は先発と中継ぎの両方を経験したが、1イニングに集中して投げる中継ぎ起用で最も持ち味が生きる
●課題はコンディション管理。体づくりと球威のバランスが成績に影響しやすく、調整が重要になる
●今季後半には2軍で状態が上向き、フォーム改善が進んでいる点は好材料
●登場曲「ウルトラソウル」が神宮にピッタリ
いかがだろう。広島ファンにこのような「評価」をされていた選手が誰なのか、すぐに分かった人はいるだろうか。正解は大道温貴だ。
大道は2020年ドラフト3位で広島に入団し、プロ3年目の2023年には中継ぎとして48試合に登板。防御率2.72、10ホールドと安定した成績を残し、ブルペンを支えた実績を持つ。
今季の1軍登板はわずか1試合にとどまったが、1イニング限定で力を発揮するタイプとして評価されており、ヤクルトが補強ポイントに合う投手として獲得に動いた形だ。
広島での5年間を振り返り、大道は球団を通じて、次のようにコメント。
「緊迫した場面でマウンドに立たせていただいた経験は今後に生きる」
新天地での意気込みを示したのだった。
振り返れば昨年の現役ドラフトでは、これまた広島からヤクルトへ、矢崎拓也が移籍。すぐさま45試合に登板し、防御率1.93、12ホールドと申し分ない成績を残している。12月8日の契約更改では800万円増の年俸5600万円(推定)でサインし、色紙には「貢献」と記して来季への決意を表した。この成功例があることで「大道も続くのではないか」との期待は高まろう。
ヤクルトは救援陣の補強が急がれており、大道には出場機会を広げるチャンスが巡ってきたといえる。150キロ台のストレートとテンポのいい投球がハマれば、勝ちパターン入りも。大学時代に「快速王子」と呼ばれた明るいキャラクターと甘いマスクは、新しい環境で花開くか。
ヤクルトで結果を出せば、古巣にとっても要注意投手となるだろう。
(ケン高田)

