9月22日にフランス・パリで開催されたバロンドール授賞式で、パリ・サンジェルマンのフランス代表FWウスマンヌ・デンベレが男子バロンドールを初受賞した。
評価対象期間だった昨年8月からの1年間で、公式戦53試合に出場して35ゴール16アシストを記録したアタッカーは、一昨季までエースだったキリアン・エムバペのレアル・マドリー移籍に伴ってパリSGで中心的な役割を担うようになり、サイド、中央と幅広いエリアで多くの決定的な仕事を果たし、リーグ・アン、クープ・ドゥ・フランスに加え、クラブ史上初のチャンピオンズリーグ制覇という歴史的な「3冠」達成に大貢献してみせた。
また、決勝でチェルシーに敗れ、4冠はならなかったものの、準決勝でレアル・マドリーを4-0で下すなど、見る者に強さを印象付けた今夏のクラブワールドカップでも、献身的かつ効果的なプレーを披露。奇しくも仲間たちがリーグ・アン延期分のマルセイユ戦を戦う間、負傷欠場中のため表彰式出席が可能となった彼は、感動の涙を見せながら、喜びと感謝の言葉を発した。
「みんな、本当にありがとう。今、自分に起きている快挙が信じられないし、言葉にならない。パリSGでのシーズンは、本当に素晴らしかった。驚くような経験ばかりだったし、簡単なものではなかった。このトロフィーをロナウジーニョから手渡されるなんて本当に特別だ。2023年に僕を獲得してくれたパリSGに感謝している。彼らは素晴らしい家族だ」
またこれまでのキャリアにも言及し、「僕がプレーしてきた全てのクラブにも感謝したい。スタッド・レンヌ、ボルシア・ドルトムント、そして子どもの頃から夢見ていたクラブ、バルセロナ。リオネル・メッシやアンドレス・イニエスタのような選手と一緒にプレーして多くを学べた。本当に素晴らしい経験だった。僕はとても幸せだ。この賞を受賞した伝説的な選手たちのリストを見ると......このトロフィーを手にできて、本当に信じられないほど幸せだ」と語っている。
フランス人選手としては、レイモン・コパ、ミシェル・プラティニ、ジャン=ピエール・パパン、ジネディーヌ・ジダン、カリム・ベンゼマに続く6人目、国内クラブ所属のフランス人選手としてはパパンに次ぐ2人目となったデンベレ。なおこれでフランスは、ドイツ、イタリアを引き離して、史上最多のバロンドール受賞者輩出国となった。 母国の日刊紙『LE FIGARO』は、「当然の結果であり、相応しい戴冠ではあるが、昨季開幕時点では誰も予想していなかった。2024年、レンヌ時代の恩師であるジュリアン・ステファンは『決定力がもっとあれば、デンベレはバロンドールを獲っていただろう』と語っていたが、現実はその通りになった。28歳のフランス代表は昨季、その決定力を身につけた。それは『偽9番』への配置後に顕著となったため、彼はルイス・エンリケ監督に感謝すべきだろう」と綴っている。
同メディアは続けて、「それがパリSGを欧州の頂点へと導いた要因のひとつである。パリSGは、選手全員が役割を果たした。まさにチーム、本物のチームだ。しかし、彼らの攻撃における最大の切り札はデンベレだった。彼は最初の守備者でもあり、プレスをかけ、ポジションに戻り、相手に食らいつく。そのうえで、創造性と相手を崩す能力も忘れない。効率性のためにそれらを失ったわけではない。まさに完成された選手だ」と、世界の頂点に立った自国選手を称賛した。
英国の日刊紙『The Guardian』は、「このフランス人選手は驚異的な両足の使い手で、守備と戦術感覚の向上に精力的に取り組んできたのは明らかだ。彼こそ、新生パリSGの象徴である。間違いなく素晴らしい才能の持ち主であり、それが結束力のあるチームの一員として発揮された」と評したうえで、「この選考に異論を唱える者はほとんどいないだろう」とも記した。
今回の選考において対抗馬となったのはバルセロナのラミン・ヤマルで、これまでこの18歳の天才を強く推していた地元紙『MUNDO DEPORTIVO』は、結果を受けて「選択は明確だった。それはデンベレだ。チーム内には他の候補もいたかもしれないが、フランスの首都において彼こそが『看板』である。彼の都市、国、代表チームとの結びつきによって、今回は『民衆のバロンドール』となった。パリとその周辺地域の街で、デンベレは象徴的な存在なのだ」と報じている。
なお次点に終わったヤマルは、21歳以下の最優秀選手に贈られる「コパ・トロフィー」を2年連続で受賞。「将来は他の賞も獲得できるよう、努力を続けていかなければならない」と、すでに今後に視点を向けている。
しかし、彼の父親ムニール・ナスラウィ氏はこの選考に納得がいかなかったようで、『El Chiringuito TV』で以下のように主張したと複数の現地メディアが伝えた。
「私はこれを最大の......強盗とは言わないが、人間に対する精神的な損害だと思う。私は、ラミンが世界で群を抜いて最高の選手だと思う。本当に大きな差をつけている。彼が私の息子だからではなく、世界最高の選手だからだ。ライバルはいないと思う。今回は非常に奇妙な結果に終わったと言わざるを得ない。来年のバロンドールは、スペイン人のものになるだろう」
構成●THE DIGEST編集部
【動画】才能がついに本格開花!2024-2025シーズンのデンベレゴール集
【動画】堂安が2ゴール・1アシストの活躍!2節ホッフェンハイム戦ハイライト
【動画】上田綺世が2ゴール!相手DFの退場を誘発する突破も

