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「自分は悪い子だからサンタが来ない」という呪いを解きたい――クリスマスに子どもに本を贈る「ブックサンタ」代表が語る、本が照らす子どもの未来

「自分は悪い子だからサンタが来ない」という呪いを解きたい――クリスマスに子どもに本を贈る「ブックサンタ」代表が語る、本が照らす子どもの未来

「うちの近くでやってない」——活動初期の苦労

――活動は初年度から順調だったのでしょうか。

いえ、最初の数年は本当に大変でした。2017年の初年度は58店舗の書店さんと848冊の寄付から始まりましたが、まず認知度がまったくない。メディアの取材もありませんでした。

――SNSなどでの反響もなかったのですか。

当時は、SNSでこの活動について書いてくれる人は1日に1人もいないような状況でした。たまに投稿があっても、「うちの近くには参加書店がない」「〇〇県には1店舗もないじゃないか」といったネガティブな声が多かったんです。

――活動に対して、厳しい声もあったのですね。

はい。私たちからすれば、初年度から全国58店舗もの書店が協力してくださるだけで本当にありがたいことだったのですが、なかなかそうは受け取ってもらえませんでした。出版社さんにも協力をお願いして回りましたが、ほとんど協力は得られませんでしたし、書店さんからも断られることが多かったです。

潮目が変わったNHK特集と直木賞作家・今村翔吾さんの協力

――その厳しい状況は、どのようにして変わっていったのですか?

年々、賛同してくださる方は増えていきました。大きな転機は、2022年にNHKの『ニュースウォッチ9』で活動を取り上げていただいたことです。この放送は、多くの人に活動を知っていただく大変ありがたいきっかけとなりました。放送内容が素晴らしかったことから、番組をご覧になったたくさんの視聴者の方々が、ご近所の書店へ「ブックサンタに参加できないか」と訪ねたり、問い合わせをしてくださったのです。

その結果、日本全国の書店さんから「お客様から多数のお問い合わせをいただいているので、ぜひうちも参加したい」というご連絡が相次ぐようになり、一気に参加店が広がりました。

――お客様の声が、書店さんを動かした。

はい。私たちがどれだけ営業するよりも、お客様の声の方がはるかに強い力を持っていました。この年を境に参加店舗は779店から一気に1683店に、リアル書店での寄付冊数も5万冊から10万冊へと倍増しました。

――作家の今村翔吾さんとの連携も、大きな力になっているそうですね。

今村さんとの出会いも、テレビがきっかけでした。TBSの『Nスタ』で私たちの活動が紹介された際、コメンテーターとして出演されていた今村さんが、本当に素晴らしく、私たちの想いをすべて代弁してくださるようなコメントをしてくださったんです。

――それがきっかけで交流が始まった。

はい。その後、Xでやり取りするようになりました。今村さんが経営されている書店「きのしたブックセンター」もブックサンタに参加してくださることになり、打ち合わせをする中で「作家がもっと協力できることがあるんじゃないか」と提案してくださいました。作家がただ本を寄付するだけでなく、おすすめの本を紹介したり、もっと活動を応援する仕組みを一緒に考えよう、と。その一言から、「作家サンタとブックサンタ」のプロジェクトが始まりました。

――どんなプロジェクトですか?

プロの作家が子どもたちへ贈る本を選び、その本に対する推薦コメントを寄せてくださるという仕組みです。ブックサンタの公式HPのオンライン書店から直接その本を寄付することができます。また、作家の方ご自身が寄付をしてくださることもありますし、SNSでの告知をしてくだる方もいます。今では多くの作家さんが協力してくださっていますが、初期の作家さんは今村さんからお声がけいただきました。とても感謝しています。

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