F1レッドブルの角田裕毅は現地12月6日、最終戦アブダビGPにおいて14位でチェッカーフラッグを受け、苦難に満ちたシーズンを終えた。
いったんはF1での最後の週末を迎えた角田は、フリー走行2回目で「最悪のセッション」を経験。フリー走行3回目はピットレーンでのもらい事故によってフロアを破損して旧仕様に戻すなど、災難続きだった。
迎えた予選ではライバルの脱落にも助けられてQ1、Q2ともギリギリで通過。Q3は逆転年間王者を狙うチームメイトのマックス・フェルスタッペンにトウを提供するという大きな貢献を果たしたところまでは良かったが、自身はトラックリミット違反でタイムなしだった。
決勝では10番グリッドからハードタイヤでスタートして長くコースに留まり、タイヤを交換した後のランド・ノリス(マクラーレン)を少しでも長く抑え込む役割を与えられた。しかし23周目に訪れたバトルでは、追い抜こうとしたノリスをコース外に押し出す格好となり、後に5秒ペナルティを科された。自身のレースも苦しくしてしまい、入賞のチャンスを逃した。
こうして降格前ラストレースを終えた日本人ドライバーに対して、各国専門メディアの評価はやはり厳しいものとなった。
英国のモータースポーツ専門サイト『CRASH』は10点満点で及第点に満たない「5.5」を与え、「アブダビでのパフォーマンスを見る限り、レッドブルが角田を放出する決断は全くもって正当化される」と記述。以下のように寸評を続けている。
「ペースは悪く、ノリスに対するディフェンスも弱かった。もし角田が最終セクターでノリスを抑え込んで背後のシャルル・ルクレール(フェラーリ)との差を詰めていれば、おそらくマクラーレンのドライバーにとって、もっと神経を使うレースになっていただろう」
同国のF1専門サイト『PLANETF1.COM』は、「角田は(2021年アブダビGPでライバルを簡単に追い抜かせなかった)セルジオ・ペレスではなかった。レッドブルのセカンドドライバーは、ノリスの前進をほとんど食い止められなかった。タイトルを獲得するために、フェルスタッペンは可能な限りの助けを必要としていたが、角田はマクラーレンを後ろに留めようとした試みのなかで、自分自身に5秒ペナルティを招く結果しか残せなかった。そのせいで順位を落としてしまった」と振り返り、採点は「5」止まりだった。 オランダのF1専門サイト『RN365』は採点前述のメディアより低い「4」を付与。寸評では「少々の幸運があったにせよ、Q3進出を果たした。しかし結局のところ、いったん最後となるF1レースでも、ただチームメイトのために走ることしかできなかった。ノリスに対するディフェンスは、上手くいかなくなるまでは気迫に満ちていた」と綴っている。
続けて「最終的にやりすぎてしまい、5秒のタイムペナルティを受けるのは当然だった(その是非については間違いなく物議を醸すだろうが)。『レッドブルでシートを維持するために十分な走りをした』と言うのは難しいが、同時に『F1で走るだけの実力がない』と言うのも難しい。今週末のレースは、まさに角田のシーズンを象徴するものだった」と、複雑な見解を示した。
スペインのF1専門サイト『F1i.com』の採点は「5」。「角田にとっては、まるで格下扱いをされたような、酷い最終戦となった。予選ではQ3進出を果たしたものの、決勝はノリスに対してやや雑なディフェンスを行ない、コース外に押し出したとしてペナルティを受け、すぐにレースを台無しにしてしまった」と総括した。また、シーズンを通してのパフォーマンスにも次のように言及している。
「今季はレッドブルで速さを垣間見せる場面もあったが、それを有効に活かすために必要な一貫性を欠いており、このチームのマシンが(力を発揮するには)依然としてフェルスタッペンの奇跡的な走りを必要としていると証明する形となった」 スポーツ専門サイト『sportskeeda』は「6.5」と採点こそ低くはなかったが、寸評は「アブダビでの週末において、角田は『実験台』の役割を担っていた。チーム全体の焦点は、チームメイトのタイトル獲得の可能性を最大化する点に置かれていた。今回、角田はQ3進出を果たしたが、レッドブルにおける最後のレースでポイントを獲得できなかった」と厳しい内容に終始した。
そして英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は、これまでのグランプリ同様、ランキング形式でドライバーを評価しており、角田を最下位の「20位」とした。「『RB21』の扱いが難しいとはいえ、再びその潜在能力を十分に引き出せなかった」と総括。予選については、「速さの片鱗を見せ、Q2ではフェルスタッペンに0.3秒以内まで迫っていたが、他の点では自らの名を高められなかった」とネガティブに評している。
「Q3ではチームメイトにトウを提供するも、自身のアタックはトラックリミット違反によって台無しに。そのせいで、より上のグリッドからスタートし、年間王者決定戦という『チェス盤』において、より積極的な駒になる可能性を失った」
そして決勝については、「ピットストップ後にノリスが迫ってきた際、角田がなぜか複数回の進路変更を断行するという不可解な判断をしたため、その抵抗が無意味になっただけでなく、自身へのペナルティまで招いてしまった。弁護するならば、タイヤのオーバーヒート問題を抱えていた。とはいえ、通常のレース展開であればポイント圏で堅実な結果を出せるペースは持っていたが、その後のレースでは戦略が機能しなかった」とまとめている。
構成●THE DIGEST編集部
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