鈴鹿サーキットで行なわれているスーパーフォーミュラの合同テスト兼ルーキードライバーテスト。その参加ドライバーの中で特に注目を集めているカッレ・ロバンペラは、体調不良によってテスト初日は午前のみの走行で切り上げた。
2度のWRC(世界ラリー選手権)チャンピオンであるロバンペラは、来季からサーキットでのレースに本格転向。2026年はスーパーフォーミュラに参戦することになっている。そしてそのための重要な準備の場となるのが今回の鈴鹿テストであり、ロバンペラにとっては初めて走るスーパーフォーミュラのマシンに適応すべく、マイレージを稼いでいきたいところだった。
午前のセッションは32周を走行し、トップから7秒遅れの1分44秒602というベストタイムをマークしたロバンペラ。ただKCMGの土居隆二監督によると、午前のセッションではコースティング(アクセルを抜いての惰性での走行)をしながらの周回に終始し、フルプッシュすることはなかったとのことだ。
その走行の中ではバックストレートで200km/hに速度を固定して走るような場面もあったが、これは今回ロバンペラのエンジニアリングサポートを行なっているハイテックTGR側のリクエストだったという。一定速度で走行することで、各種パーツの空力効率などのデータを収集し、SF23のいわゆる“エアロマップ”を自分たちで確認しておきたい……そういった狙いがあったようだ。
そのプロフェッショナルな仕事ぶりには土居監督も「ハイテックが今年のF2でいかにしてランキング2位になったか、ということですね」と目を丸くする。両者の関係は良好なようで、このまま来季ロバンペラの起用が正式に決定すれば、ハイテックとテクニカルパートナーシップを結びたいという意向も明かした。
ただ前述の通り、ロバンペラは午後のセッションへの参加を見送った。ロバンペラは体調不良を訴えたとのことだが、どこか痛みを訴えたりしているわけではないという。土居監督は明日以降もロバンペラが走行する予定だとしながらも、多忙なスケジュールであることを慮って「無理をさせるつもりはない」と述べた。
「(WRC)最終戦のサウジから、本当に忙しい中で日本に来て、人生3回目に乗ったシングルシーターがこれですから。ちょっと疲れちゃったのかなと個人的には思っています」
「もし明日もまだ(体調が優れない)というのであれば、無理させるつもりはありません」
また午前の走行の後にはKCMGがシートを調整している姿も見られたため、シートフィッティングがうまくいかなかったことが体調不良の原因ではと見る向きもあったが、土居監督はそれを否定。急遽のシート合わせになったことで目線が低くなりすぎていたと説明した。
「本当は数日前に来てもらって、暖かい部屋で発泡も膨らみやすい、落ち着いた状況でやりたかったんですけどね。現場で(シート合わせを)することになった結果、ちょっと目線が低すぎちゃっていました」
「僕も最初のうちはもう少し高い方がいいと言ったんですけどね。スーパーフォーミュラは限界ギリギリ、4輪脱輪ギリギリのところで走っているわけですから、見えないと話になりません。ベテランになれば周りの景色から自分の走行位置を判断できるんですけどね」

