気鋭のホラー作家ディラン・クラーク監督がメガホンをとり、YouTubeで約880万回再生されている『Portrait of God』は、「神の肖像」と名付けられた黒一色のアート作品のプレゼンを練習している信心深い女性が、その絵の中に人影を見つけてしまう様子が描かれる7分の短編。「No Man Shall See and Live(私を見てなお生きていける人はいない)」という出エジプト記33章20節が引用され、従来とは異なるかたちで“神の姿”を問う作品として大きな話題を集めた。

同短編の映画化権をめぐっては複数のスタジオが熾烈な争奪戦を展開し、ユニバーサル・ピクチャーズがそれを獲得。ピールは自身の設立したモンキーポー・プロダクションズを通してウィル・ローゼンフェルドと共にプロデューサーを務め、ライミもゴーストハウス・ピクチャーズを通し、ロメル・アダムと共に共同プロデューサーとして参加。エグゼクティブ・プロデューサーはドラマシリーズ「ナチ・ハンターズ」のクリストファー・ロザーティが務める。
オリジナルを手掛けたクラーク監督は長編版でも監督に指名されており、『ハード・キル』(20)のジョー・ルッソと共同で脚本も担当する。クラークは現在、自身が2024年に発表した短編映画『Story Time』の長編セルフリメイク企画も進行中であり、そちらでは『フィアー・ストリート Part2:1978』(21)や『ドラキュラ デメテル号最期の航海』(23)の脚本家ザック・オルケウィッツとタッグを組む予定だ。

YouTubeから気鋭作家が進出してくることは近年の映画界のトレンドの一つであり、特にホラーではそれが活発。『ライト/オフ』(16)のデヴィッド・F・サンドバーグや、双子YouTuberのダニー&マイケル・フィリッポウ、最近では『The Backrooms(Found Footage)』を手掛けたケイン・パーソンズがA24のもとで同作のセリフリメイクに挑むことも注目を集めている。その流れに新たに加わるクラーク監督の今後の活躍にも期待しながら、『Portrait of God』の続報を待とう。
文/久保田 和馬
