三つ巴の激しいタイトル争いが行なわれた2025年のF1最終戦アブダビGP。最終戦までチャンピオン争いがもつれ込むのは2021年以来だったが、この4年前のレースをいちファンとして観戦していたアイザック・ハジャーが当時の裏話を明かした。
ハジャーはレッドブルの育成プログラムから今季F1にステップアップし、ルーキーイヤーから印象的な活躍を見せた。これにより、2026年はレーシングブルズからレッドブルに昇格してマックス・フェルスタッペンとコンビを組むことになった。そのフェルスタッペンとルイス・ハミルトンが激しいタイトル争いを繰り広げたのが、2021年シーズンだ。
ハジャーは当時ハミルトンのファンであったが、アブダビでの波紋を呼んだ劇的決着により、フェルスタッペンが逆転でチャンピオンに輝いた。ハジャーは『The Red Flags Podcast』でこの時のことを振り返り、未だに複雑な心境なのだと語った。
「あの時は部屋でひとりだった」とハジャーは言う。
「カメラもないし、マイクとかもなかった。目の前にあるのはスクリーンだけで、TVを叩き割った……それだけだ」
「もちろんレッドブルが勝ったことは嬉しかった。メルセデスは僕と契約しなかったし、僕をF1に乗せてくれたのはレッドブルだったからね。でも彼(フェルスタッペン)には悪いけど、正直すごく複雑な気持ちだった」
ハジャーにとってハミルトンは幼少期からのヒーローであり、彼は以前からそれを公言してきた。
「子供の頃テレビで見ていて、『お願いだから引退しないでくれ』と思っていた。彼が走っている間に自分もそこに行きたいと思っていた」
「実際、僕のF1での1年目が彼のフェラーリでの1年目になった。すごく印象的だよね」
「まさか自分が彼とレースできるなんて思わなかった。彼は引退してしまうと思っていたから。本当に光栄だ。今年は何度か彼とバトルもできた」
このようにハミルトンへの大きなリスペクトを示したハジャーだが、グランプリの舞台に立てば遠慮はなし。7度のワールドチャンピオンであるハミルトン相手に「ドアを開ける」ことは絶対にないと付け加えた。
ルーキーながら表彰台を獲得し、51ポイントを稼いだハジャー。このパフォーマンスが評価されてレッドブル昇格を果たしたわけだが、最終戦を前に来シーズンについてもこう意気込んだ。
「間違いなくキャリアの中でも最高の瞬間のひとつだ。長年の努力が報われた」
「これは新しい旅の始まりでもある。F1が新しい時代に入るタイミングでもあるし、最高のタイミングだと思うからとても楽しみにしている」

