
本作は、『正体』(24)で第48回日本アカデミー賞最優秀監督賞を含む3冠を成し遂げた藤井道人、日本映画界をけん引する俳優、綾野剛が審査員を務めた第2回東京インディペンデント映画祭のグランプリ受賞作の長編映画化作品。監督自身が新宿、歌舞伎町で過ごした経験をもとに執筆した完全オリジナル脚本で、物語の舞台は、都の条例により“トー横”が封鎖された後の歌舞伎町。居場所を失った4人の想いと運命が交錯する、一夜の逃亡サスペンスとなっている。
監督は、7歳より映画製作を始め、『残されたもの、残せるもの、』では高校生映画甲子園にて最優秀監督賞を受賞し、現在BABEL LABELの新レーベル「2045」に所属する2001年生まれの新星、秋葉恋。そして『正体』、「イクサガミ」の藤井がプロデュースを務めた。家庭でも学校でも居場所を失い、憧れと逃避心を抱えて歌舞伎町に来た高校生の飛鳥役を寺本莉緒、田舎を飛びだしてトー横で暮らし、界隈から人気を集めているネット小説「東京逃避行」の作者、日和役を池田朱那、トー横に流れ着いた人々を保護し、彼らの心の拠り所となるエド役を綱啓永、エドと共に行動し、トー横の若者たちのリーダー格であるメリオ役を高橋侃が演じ、勢いのある若手俳優が集結した。
今回解禁となった特報映像は、「がっこーに行かない私が、かぶきちょーで日記を書いてみました」という少女の声と共に、雑多な熱気が渦巻く歌舞伎町のカットから幕を開ける。飛鳥と日和は出会い、意気投合してネオン輝く夜の歌舞伎町で楽しい時間を過ごす。やがて飛鳥は日和から若者たちのリーダー格であるメリオを紹介され、流されるままにメリオが仕切る“集まり”に参加。トー横に流れ着いた人々を保護するエドや、不穏な空気のなかどこか影を抱えながらも笑顔を浮かべる日和の姿も映しだされていく。
そんななか、飛鳥は一人の女の子から「日和のこと全部信じちゃダメだよ」と意味深な忠告を受け、空気は一変。「もしかしてさ、俺らのこと嗅ぎ回ってんの?」とメリオの一言をきっかけに飛鳥と日和は夜の街を走りだす。半グレ組織から怒りを買い、街中から追われ、逃げる飛鳥と日和。居場所を守ろうと戦うエドと、追いかけるメリオ。その裏で、半グレ組織や警察をも巻き込み、たった一夜にして事態は急展開を迎えていく。

そして、主題歌には、VTuber、バーチャルライバーグループ「にじさんじ」に所属し、その透明感ある歌声で若い世代から絶大な支持を集める町田ちまが本作のために書き下ろした新曲 「ネオンと残像」 に決定。夜の街を舞台にした物語の世界観と呼応するように、揺れ動く感情や心の機微を描いた楽曲となっており、物語に寄り添う丁寧な一曲となっている。町田は、「細かい部分まで妥協することなく、こだわり抜いた渾身の一曲です。秋葉恋監督の作品が誰かの『居場所』になりますように」と想いを語った。
解禁された本ビジュアルは、飛鳥、日和、エド、メリオの4人の挑発的な眼差しと、ぶつかり合う4人の感情が凝縮された一枚。「裏切りも、痛みも、希望も、全部抱えて駆け抜けた、予測不能なたった一夜の逃亡劇」というコピーが添えられ、本作が描く一夜の逃避行を象徴する緊張感あふれるビジュアルとなっている。
今回新たに、4人を取り巻く重要人物として、松浦祐也、深水元基、さとうほなみの出演が決定。日和がトー横に出てくる原因を作った父親、慎二役を演じるのは、主演映画『岬の兄妹」(19)がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭(国内コンペティション長編部門)優秀作品賞および観客賞受賞した実力派俳優の松浦祐也。解禁にあたり、「撮影時23歳だった秋葉恋監督を筆頭に、若いクルーが一丸となって今作に挑みました。勢いのある現場で、アタシはとてもうれしかったです。だってこういう若人がこれからの邦画を担っていくんですからね」と若きスタッフ陣の熱量に身を置いた現場の手応えを語った。
歌舞伎町の支配を企み、若者たちを取り込もうとする半グレ組織の元締めの多田役を演じるのは、学生時代からファッション誌のモデルとして活動、その後俳優に活動の場を拡げ、『静かなるドン』(23)、『SEE HEAR LOVE』(23)、『帰ってきたあぶない刑事』(24)、「七夕の国」など多くの映画、ドラマ、舞台で活躍している深水元基。深水は、「心のざわつきをリアルに描いたこの作品に共感し救われる人は多いと思う」とコメントを寄せている。
トー横の児童相談所で働く女性レイカ役を演じるのは、2021年にNetflix映画『彼女』で映画初主演を務め、2023年には映画『花腐し』では、第33回日本映画プロフェッショナル大賞新進女優賞を受賞し、現在はNHK連続ドラマ小説「ばけばけ」、舞台「シャイニングな女たち」など話題の作品に多数出演しているさとうほなみ。さとうは、「秋葉監督が見てきた世界、見ている世界。そして映したい現実。見てみぬふりをしてほしくないような、素敵で、残酷な作品です。」と本作への想いを寄せた。
4人の想いと運命が交錯し、夜明けに出すそれぞれの答えとは?彼らの、闇を切り裂くような命懸けの逃避行の行方を見届けてほしい。
■<コメント>
●松浦祐也(慎二役)
「撮影時23歳だった秋葉恋監督を筆頭に、若いクルーが一丸となって今作に挑みました。勢いのある現場で、アタシはとてもうれしかったです。だってこういう若人がこれからの邦画を担っていくんですからね。撮影現場で『既成概念にとらわれず、好き勝手にやれ!』と無責任に思いつつ、淘汰される側になったアタシは震えていたのです」
●深水元基(多田役)
「新宿歌舞伎町…いつ聞いても心がざわつく…昔は怖い人がいるイメージだったけど、いまは得体の知れない怖さがある。それでもここに救いを求め集まる人々がいる。その心の隙につけ込んでくる人だって多い。多感な時期にここにたどり着いたら出てくるのは難しいだろうな…。でも、逃避行するには歌舞伎町は打ってつけなんだろう。 心のざわつきをリアルに描いたこの作品に共感し救われる人は多いと思う」
●さとうほなみ(レイカ役)
「秋葉監督が見てきた世界、見ている世界。そして映したい現実。そこには途方もなく彷徨うこどもたちがいて、救われたい命と救いたい命がありました。見てみぬふりをしてほしくないような、すてきで、残酷な作品です。わたしはこの出会いに感謝いたします」
●町田ちま(主題歌)
「このたび『東京逃避行』の主題歌を担当させていただくことになりました、町田ちまと申します。作品を何度も視聴し、本当に伝えたい想いはなんなのか、自分自身の心で感じ取ったものの正体はなんなのかと真摯に向き合いながら綴った文章を真崎エリカさんに綺麗に歌詞にしていただきました。歌唱収録やEDIT/MIX確認過程でも細かい部分まで妥協することなく、こだわり抜いた渾身の一曲です。秋葉恋監督の作品が誰かの『居場所』になりますように」
文/サンクレイオ翼
