世界ランキング1位のカルロス・アルカラス(スペイン/22歳)と2位のヤニック・シナー(イタリア/24歳)が“2強時代”を築きつつある近年の男子テニス界。昨年から今年にかけては、アルカラスが12タイトル、シナーが14タイトルを獲得し、最高峰の四大大会でも8大会全てで優勝を分け合った。
こうなると「2人のうちどちらが優れた選手か?」という問いに答えるのは非常に難しい。シナーと同じイタリア出身の女子テニス選手、ジャスミン・パオリーニ(現世界8位/29歳)もそう考える1人だ。
伊テニス界を共に牽引する仲間としてシナーを推すかと思われたが、彼女が出した答えは「選べない」だった。先日出演した同国のトーク番組『Fabio Fazio's TV show』で司会のファビオ・ファツィオ氏から受けた上記の質問に対し、次のように応じた。
「ヤニックかカルロスのどちらかを選ぶなんて無理。私自身も強いボールを打てると楽しいから、ヤニックの強力なショットにはすごく魅了されるけど、カルロスのテニスには時々言葉を失うほど。2人とも本当に驚異的な選手だと思う」
また同番組でパオリーニと共演したダブルスパートナーで新コーチでもあるサラ・エラーニ(イタリア/複元1位/現3位)も同じ質問に対し、「2人とも大好きだから選べない」と回答。ただどちらかと言えばアルカラス寄りのようで、「彼のラケットタッチは本当にすごいし、その想像力の豊かさも信じられない。とてつもない才能を持っている選手」と22歳の多彩なスキルに心惹かれていることも明かした。
もう1人、この話題に言及したのが、男子元世界8位のキャメロン・ノーリー(イギリス/27位)だ。パオリーニやエラーニとは対照的に、彼は“明確な答え”を用意していた。
ちなみにノーリーは意外にもシナーとはまだ1度もツアーでの対戦経験がない。一方アルカラスには過去3勝5敗と負け越しているものの、内容的には拮抗しており、直近である今年10月末の「ロレックス・パリ・マスターズ」(室内ハードコート/ATP1000)2回戦でもノーリーが4-6、6-3、6-4で勝利していた。
ノーリーは最近出演したポッドキャスト『Nothing Major Show』で「シナーとはまだ試合をしたことはないけど、よく練習はする。彼については実際に対戦してから率直な意見を言いたい」と前置きしつつ、こう語った。
「正直なところ、僕は常にアルカラスを優れた選手として支持していて、今後もそれは変わらないと思う。彼はより多彩なテニスができるし、見ていて本当に面白いプレーをするから大好きなんだ」
その上で改めて「アルカラスとシナーに継続的に対抗できる選手は少ないと思う」と20代ツートップの類まれな強さを称賛。“2強に割って入れそうな選手”には同胞のジャック・ドレイパー(現10位)と19歳の期待の新鋭ジョアオ・フォンセカ(ブラジル/同24位)の名を挙げ、「現時点ではドレイパーが最有力候補だが、最終的にはフォンセカがあの2人と並んで“新ビッグ3”になると思う」との考えを示した。
文●中村光佑
【画像】2025全米オープン男子シングルス決勝スナップ集/アルカラスがシナーを下して3年ぶり2度目の優勝!
【関連記事】アルカラス、ライバルのシナーを「本質的に弱点のない選手」と称賛! 来季1月のエキジビで直接対決へ<SMASH>
【関連記事】“2強時代”を築くシナーとアルカラス、四大大会をより多く勝つのはどっち? 元プロの識者が討論<SMASH>

