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FIFA会長とトランプ大統領のための抽選会、真のW杯はラウンド16から、選手たちは延々と移動を強いられ…アルゼンチンの伝説FWが巨大化・商業化する祭典に警鐘【現地発コラム】

FIFA会長とトランプ大統領のための抽選会、真のW杯はラウンド16から、選手たちは延々と移動を強いられ…アルゼンチンの伝説FWが巨大化・商業化する祭典に警鐘【現地発コラム】


 現代フットボールには何事も小さすぎる。前回のワールドカップ(W杯)が1都市で開催されたのに対し、北中米大会は大陸全体が舞台となる。前回は32か国が参加したが、今回は48か国が参加。試合数は64から104に増加する。メキシコ、アメリカ、カナダの3か国で開催される大会はコンパクトなW杯に別れを告げる。

 グローバル化の論理に従って、フットボールはその限界を押し広げている。FIFAはこれを民主主義の祭典として売り込んでいるが、その意図はゲームそのものの縫い目を張り詰めることで製品を拡大することにある。

 誰も気にしていないようだが、ボールを膨らませ続ければ、最終的には破裂してしまうだろう。騒ぎ立てるのはやめよう。同じように丸く、はるかに敏感な存在の地球に対しても、私たちは同じことをしているが、心配しているのはそれを救えない者たちだけだ。FIFAのインファンティーノ会長とアメリカのトランプ大統領の栄光のために抽選会が行なわれ、W杯は幕を開けた。

 トランプには大いに感謝すべきだ。48の代表団がアメリカに集結し、様々な国や人種の1000人を超える選手たちが訪れるが、彼は彼らをほぼ入国させるだろうからだ。選手たちには、フェラーリで到着することをお勧めしたい。そうすれば、入国手続きがずっと楽になるだろうからだ。偉大な立役者に平和賞を贈ろう。
 
 前述した通り出場国が48か国に拡大されたため、「死のグループ」にキュラソー(リキュールの一種)が含まれるリスクがあったが、私たちは安堵してその危機を脱した。これほど多くの国が参加すると、「死のグループ」が生まれることはあり得ない。忍耐強く待とう。真のW杯は、ラウンド16から始まるのだ。

 おまけに3か国で開催されるがゆえ、選手たちは延々と移動を強いられ、試合は極端な気温の中で行われる。FIFAは試合という製品以外のあらゆることを考えている。そこにロマンティシズムが入り込む余地はない。

 メキシコは最高のペレと最高のマラドーナを輝かせたが、そのフットボールの文化的影響力を持ってしても決勝戦を開催する権利を勝ち取ることはできなかった。スタジアムはアメリカのほうが大きく、市場もより強力だ。

同じ理由で、試合の大部分はアメリカで開催される。この国にフットボールを根付かせようと、多大な努力が払われてきたが、成果は乏しい。我々はこれからも、ショーに彩りを与えようとするアメリカ人の嗜好の違いを認識することによって、フットボールが持つ野生的な性質を無理に作り替えようとし続けるだろうが、それはかえって人工的なものをもたらすだけだ。

 フットボールは持ち前の適応力でその流れに耐えるだろう。しかし新たなファンを獲得しようとするあまり、何かが滴るように、古いファンを少しずつ失っていく危険性がある。
 
 苦言はこの辺にしておこう。これからやってくるのは、フットボール界最高の祭典だ。選手にとって、W杯に勝るものはない。幼い頃から自分たちを象徴してきた国旗に身を包んでプレーすることは、私が感動した唯一のナショナリズムの衝動だ。

 プロとしてプレーすることは、自身が最も愛するもの、つまりフットボールを体現することであり、W杯では国を代表するという使命感が最高潮に達する。まさに夢の舞台だ。

 ファンにとっても、これ以上のものはない。W杯を人生の節目と重ねる者は多い。「南アフリカ大会で結婚した、ブラジル大会で子供が生まれた、ロシア大会で離婚した...」といった具合に、だ。ペレ、マラドーナ、クライフの時代は過ぎ去った。そして2026年には、6大会連続のW杯出場を経て、メッシとクリスティアーノに別れを告げることになるだろう。
 
 しかし、フットボールは私たちを独りにすることはない。彼らが去る時こそ、W杯は普遍的な真実を証明する番だ。無限のフットボールは、同じ才能を繰り返すことなく、新たな才能を蘇らせる。そこにはラ・リーガの選手だけに限定しても、エムバペ、ラミネ・ヤマル、ベリンガム、ペドリ、ヴィニシウス、フリアン・アルバレス、ニコ・ウィリアムスらがいる。

 抽選会が終わり、世界最大のスペクタクルが人々の会話を呼び起こし始めた。100年近くのW杯の歴史の中で、優勝カップを掲げる栄誉に浴したのはわずか8か国に限られる。どこか別のチームがその仲間入りを果たしたいのなら、2026年はその機会を提供する。チャンピオンになるには、星々が集うことが重要だ。それは生涯消えない栄光となる。

文●ホルヘ・バルダーノ
翻訳●下村正幸

【著者プロフィール】
ホルヘ・バルダーノ/1955年10月4日、アルゼンチンのロス・パレハス生まれ。現役時代はストライカーとして活躍し、73年にニューウェルズでプロデビューを飾ると、75年にアラベスへ移籍。79~84年までプレーしたサラゴサでの活躍が認められ、84年にはレアル・マドリーへ入団。87年に現役を引退するまでプレーし、ラ・リーガ制覇とUEFAカップ優勝を2度ずつ成し遂げた。75年にデビューを飾ったアルゼンチン代表では、2度のW杯(82年と86年)に出場し、86年のメキシコ大会では優勝に貢献。現役引退後は、テネリフェ、マドリー、バレンシアの監督を歴任。その後はマドリーのSDや副会長を務めた。現在は、『エル・パイス』紙でコラムを執筆しているほか、解説者としても人気を博している。

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙に掲載されたバルダーノ氏のコラムを翻訳配信しています。


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配信元: SOCCER DIGEST Web

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