「2人でやる10分ぐらいの脚本」が200本
――今後、脚本家という視点でやっていきたいことなどはありますか?
宮城県住みます芸人だったときに、岩沼というところで、よくしていただいたんです。そこは被災地なんですけど、僕が窓を逆につけてしまったりとかポンコツすぎて、僕のほうが助けてもらったり、お世話になったという感じで。
そんななか、ある女性と飲んだときに「引きこもりの息子を元気づけるために、小さいものでいいから舞台やってみたい」と話されたことがありました。でも、一般の方が舞台を作ろうとなると、おカネもかかるし、人数も必要だしといろいろと大変なことがあるんです。だから「2人くらいの少人数でできて、衣装とかも気にしなくてよくて、10分ぐらいでお芝居として満足してもらえるような作品」というのを書いてみようと思ったんですね。それが、ポンコツすぎてぜんぜん役に立てない僕ができることなのかなと。
それがきっかけで書き始めた「2人でやる10分ぐらいの脚本」がどんどんたまって、いま200本ぐらいになっているんです。

――それはスゴいですね!
その話を制作会社の方に見せたら「面白いね」と言っていただき、その後、イベントでやったり、配信でやったりと新しい展開も出てきていたんですけど、そうしているうちに、「一般の人が予算をかけずに手軽に舞台をやるために書き始めた」という初心を忘れていたなと、ふと気づくことがあったんです。
それで、せっかく200本ぐらいあるので、いろいろな人に使ってもらえるかたちにできればいいなと思っています。ちゃんとした舞台というよりも、カラオケみたいな感覚で、普通の人たちが余興みたいに、ちょっとお芝居してみようかと気軽に楽しめるような感じで使ってもらえないかなと。本当にボランティアで役に立たなかったので、ちょっとした恩返しというような気持ちというか。
そういう意味では、いつか宮城を舞台に「ボランティアに行ったけど、全然役に立てなくて」っていう話も書いてみたいなと思います。それこそいろいろな実体験を盛り込めると思うので(笑)。