鈴鹿サーキットで行なわれているスーパーフォーミュラのテストは、ルーキー専用枠の3日目を残すのみとなった。来季参戦が有力視されるジャック・ドゥーハンやルーク・ブラウニングは初日・2日目の合同テストから引き続き参加となるが、3日目から登場するドライバーの中にも注目株はいる。それがTOM'Sから参加のフレディ・スレイター、ウーゴ・ウゴチュクだ。
まずスレイターに関しては、欧州のジュニアフォーミュラシーンではトッププロスペクト(有望株)と言って差し支えないドライバーだ。カートで数々の実績を残した後、15歳となった2023年の途中からイタリアF4に参戦すると、2024年に圧倒的な強さでチャンピオン獲得。2025年のフォーミュラ・リージョナル欧州選手権(FRECA)でも王座に輝き、来季は満を持してFIA F3にステップアップする17歳だ。
一方のウゴチュクも、13歳にしてマクラーレン育成入りした逸材。2023年イタリアF4ランキング2位、2024年マカオGP優勝という実績を誇るが、2025年はFIA F3で成績が振るわず、マクラーレン育成からは外れてしまった。ただ来季もF3に継続参戦することが決まっている。
彼らはいずれも、今季F1ワールドチャンピオンのランド・ノリスらが在籍するADDマネジメントのドライバーであり、ADD側から売り込みがあったようだ。ADDにはトムスの37号車をドライブするサッシャ・フェネストラズも所属しており、チームとは既に関係性がある。
「昨年の(オリバー)ベアマンのような形で、鈴鹿を経験させてあげたいので乗せられるかと相談があり、OKしました」と明かすのは、トムスの山田淳テクニカルディレクター(TD)だ。彼はマカオGPを通して、ウゴチュクとスレイターの走りを生で見た関係者でもある。
特に山田TDは、スレイターの走りは印象的だったと話す。スレイターは昨年のマカオGPでも初挑戦ながら経験者組に混ざって上位争いを展開。今年のレースでは、予選レースを独走で制すと、決勝レースでは残り5周の最終コーナーでクラッシュするまで、レースをリードしていた。
「フレッドに関しては、今年(のマカオGP)は本来彼のレースだったと思いますが、マカオ特有の、ね……足をすくわれましたね(苦笑)」
「でもやっぱり速いですよね。何しろ1周目が抜群に速いので、ポテンシャルはすごく高いドライバーだという印象です。昨年も走っていましたが、今年さらにそれを実感しました」
一方のウゴチュクに関しては、その素質も去ることながら、異彩を放っているのがその身長だ。細身であり、周囲の人よりも頭ひとつ以上抜けたその姿は、スーパーモデルのようでもあり、NBAプレイヤーのようでもある。逆に言えば、レーシングドライバー然とはしていない。
山田TD曰く、ウゴチュクの身長は「2m弱」あるとのこと。そんな彼は既にシートフィッティングを行なっているが、チームによるとペダル位置は当然ながら一番奥(ノーズ側)に設定されている。しかしそれでも、最適なシートポジションにはなっていないという。
「実際は、完全に寸法内に収まっているわけではありません。今回はテストということもありますので、そこはもう仕方ないですね」と山田TD。曰く、ウゴチュクはF3参戦時、FIAに特別に申請をして通常よりも前の位置にペダルベースを置くという対処をしていた模様。「今回うちはそういうことはできませんから。ちょっと窮屈なポジションになってしまいますが、ちょっとしょうがないです」と付け加えた。

