「無音」までの道のりは長い「サイレントヴェントス」
2020年の25秒間の飛行実験では、サイレントヴェントスから90dBという数値が計測されました。
「無音」どころか「静音」でもなく、むしろ「ドライヤー(80~100dB)」に近い音量をまき散らしていたのです。
ところが2022年初めには、2分半の飛行と85dBを達成。
最新の報告によると、4分半の飛行を成功させ、騒音レベルも75dB以下に抑えられたようです。
住宅・産業・商業エリアでの許容騒音レベル(50~70dB)に届くまでもう少し、というところですね。
そしてUndefined Technologies社は、「2023年末までには15分間の飛行と70dB以下の騒音レベルを目指す」と述べています。

「無音な、静寂な」という名称をもつわりには、まだまだ「騒がしいドローン」ですが、徐々に静かになっている点は評価できるでしょう。
とはいえ、最新の動画を見る限り、サイズが大きいことや不安定さが残ることなど、騒音以外にもたくさんの課題を抱えているようにも思えます。
「イオン風で飛ぶ静かなドローン」というアイデアをどこまで実現させられるのか、今後の進展に期待したいものです。
参考文献
Undefined claims 4.5-min flight for its “silent” ion-propulsion drone
https://newatlas.com/drones/undefined-ion-propulsion-drone/
ION PROPULSION DRONE PROVES ITS COMMERCIAL VIABILITY
https://www.undefinedtechnologies.com/post/silent-ion-propulsion-drone-proves-its-commercial-viability
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
海沼 賢: 大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。

