開幕から怒涛の15連勝、64勝18敗でレギュラーシーズンをカンファレンス首位で終えた昨季から一転、今季のクリーブランド・キャバリアーズは不安定な序盤戦を送っている。
最初の15試合は10勝5敗とまずまずの勝率を保っていたが、11月下旬に3連敗を喫するなど、直近7試合で5敗と躓き、現在14勝11敗でイースト7位タイとなっている。
連敗を3で止めたインディアナ・ペイサーズ戦で43得点と獅子奮迅の働きを見せたドノバン・ミッチェルは、好発進を切りながらも逆転負けを喫した2日後のポートランド・トレイルブレイザーズ戦でのチームの戦いぶりを、一刀両断した。
「3連敗した後にインディアナに勝利して手応えを得たのに、再びこのような試合をしていたらダメだ。誰がメンバーにいようと、相手がどこだろうと、俺たちはもっと貪欲にならないといけない。
過去にそれができていたからこそ、余計にフラストレーションを感じる。俺たちはできたし、示してきた。だからそれを継続して習慣にしていかないといけない。今の俺たちは自分たちが望むレベルに達していない」
続くサンアントニオ・スパーズ戦は、前半は追う展開になるも、第3クォーターに入ってジェイロン・タイソンの一挙16得点などチームで44得点を積み上げて逆転。そのまま逃げ切り勝ちを収めたが、次のゴールデンステイト・ウォリアーズ戦では今季最少の94得点に封じられてホームで敗戦と、不安定な状態は続いている。
不振の大きな要因は、ケガ人が続出してメンバーを固定できていないことにある。
オールスターガードのダリアス・ガーランドは、オフに左つま先の手術を受けて開幕から出遅れ、11月初旬に復帰してからも3試合以上続けて出ることはなく、まだ本調子とは言い難い。
シューターのサム・メリルと、ビッグマンのジャレット・アレンはともに手の負傷で離脱中。先発候補のマックス・ストゥルースも、オフに受けた左足の手術からの回復過程で、まだ復帰の目処は立っていない。 ウォリアーズ戦では、ステフィン・カリーをはじめ主力が軒並み欠場した相手に、25本のアシストから33本のシュートを決められて敗戦。
ミッチェルはメンバーを固定できないなかで戦うことの難しさを口にしていた。
「主力が欠けていると相手にそうしたゲームを許してしまう。いろいろなポジションに本来の持ち場とは違う選手が入っているから、なかなか予測がつかない。でも自信を与えることさえできれば、自分たちのやっていることを信じてどんどん良いプレーを続けていけるはずだ」
今季のキャブズは敗戦ゲームでは立ち上がりに思うように波に乗れず、後半になって追い上げるも時すでに遅し、といった展開が多々見られる。
ミッチェルも「自分たちは、ビハインドになってからようやくプレーし始めるようなチームになってしまっている。でも、スイッチを切り替えるボタンなんてない。そこが変わらない限り、“できる時”と“できない時”を繰り返すという同じ状況に陥ってしまう」と警鐘を鳴らす。
エースが課題に挙げるのは、「とにかくインテンシティ(強度)を上げる」というシンプルなことだ。
「ディフェンス、リバウンド、トランジションの時には走る。いつも話していることで、これまでもできていたことだ。それを断続的にしかできていないのが問題なんだ。継続して同じレベルでプレーする方法を見つけないといけない」
ここまで平均30.5点、フィールドゴール成功率は50.2%と、個人としてはキャリアベスト級のパフォーマンスを発揮しているだけに、それが勝利に結びつかないのはミッチェルにとって歯がゆいに違いない。
加えて彼自身が繰り返し指摘しているように、以前はできていたことができていない、つまりは、できるポテンシャルはあるのに発揮できていない状況にフラストレーションを募らせている。
しかし裏を返せば、ポテンシャルがある限り、それが上手く回り出す可能性は十分にあるということ。
ウォリアーズ戦から次のワシントン・ウィザーズ戦(日本時間13日)までの5日間は「いいリセット期間になる。この間に修正する」とミッチェルは誓った。シーズン中盤戦へと突入するここからが、キャブズにとっての正念場だ。
文●小川由紀子
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