日本ハム、巨人、中日で活躍し、今シーズン限りでプロ野球人生に別れを告げた中田翔氏。プロ18年間で通算309本塁打、三度の打点王という堂々たる成績を残したが、引退後もメディアで彼の姿を見かけない日はないほど。「2025 スカパー!ドラマチック・サヨナラ賞 年間大賞」のトークショーでは、
「ちょっと生意気ではありますけど、タレント活動させていただいております(笑)」
事実上のタレント宣言とも受け取れるコメントをしている。
中田氏ほどの大物であれば、引退後しばらくの間はテレビやラジオ、ネット番組にイベント出演と、オファーが殺到するのは当然だろう。だが問題は「引退特需」が終わってからも引き続き仕事をもらうのは、決して簡単なことではない、という事実だ。
特にメディアで仕事をするならば、トークスキルは重要。公言しないだけで、引退後に話し方教室の講師などからレッスンを受ける球界OBは少なくないといわれる。
例えば軽妙なトークで関西では人気が高い元阪神・関本賢太郎氏も以前「ジャンクスポーツ」(フジテレビ系)に出演した際に、チームメイトだった今成亮太氏について、
「2年くらい、話し方の勉強に行ってた」
と秘密を暴露している。
中田氏は饒舌でもなければ、愛想を振りまくキャラでもない。メディア業界が受け入れてくれれば問題ないが、特に放送業界ではそうしたタイプが生き残ることが厳しいのは事実だ。
ところが、だ。中田氏が現役時代の大半を過ごした北海道の地元テレビ局関係者が言うには、
「札幌に移住すれば、喋りが拙くてもオファー殺到は確実です」
と太鼓判を押すのだ。その理由はというと、
「東京をはじめ、大阪や名古屋には住んでいる球界OBが多いため、メディア出演は熾烈な椅子取りゲームになります。でも札幌には地元在住の大物選手が少なく、日本ハムOBの有名選手は鶴岡慎也氏くらいです」
事実、鶴岡氏はホームの日本ハム戦の大半で解説を務め、さらに野球とは関係のない地元局の情報番組でもレギュラーコメンテーターになるほどの売れっ子だ。
「中田さんは北海道が生んだスター選手だし、視聴者は見守ってくれるはず。もし札幌に住めばトーク力とか関係なしに、売れっ子ローカルタレントになる可能性は高いと思います」(前出・北海道テレビ局関係者)
キャリアを考えれば、むしろその方が堅実と言えるかもしれない。
(滝川与一)

