フェラーリF1のフレデリック・バスール代表は、シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンからの批判の声を改善のために活かしていく考えで、むしろ歓迎する姿勢を示した。
フェラーリは2024年にコンストラクターズランキング2位を獲得したこともあり、2025年はさらに改善しタイトル争いを繰り広げることが期待された。しかしそうした期待とは裏腹に苦しいレースが続き、最終的にはコンストラクターズランキング4位でシーズンを終えた。
ドライバーズランキングではルクレールが5位、ハミルトンが6位という結果となったが、彼らはレースウィーク中に非常に苛立った姿を見せてきた。今季からフェラーリに加入したハミルトンは落胆を隠しておらず、例えばサンパウロGPのダブルリタイアの後には「悪夢だ」と語った。
ただこうした否定的な発言の連続はフェラーリのジョン・エルカーン会長から批判を招き、彼は2人に対して「運転に集中して、もっと口数を減らすべきだ」と述べ、この発言は広く議論を呼ぶことになった。
それでもバスール代表は、ドライバーが公の場で何を言うかにはほとんど関心がなく、彼にとって重要なのは“舞台裏でのやり取り”だと話している。
「私はテレビペン(メディアエリア)での反応には注意を払っていない」
バスール代表はアブダビGPでそう語った。
「私にとって最も重要なのは、ドライバーがチームのもとに戻ってきて、より良い仕事をするようチームを鼓舞し、全員で協力してより良い結果を得ようと取り組むことだ」
「実際に無線で彼らが感情的になることもあるが、それは人による……皆も知っているように、シャルルはいつも少し批判的だ。まずは自分自身に対して、そしてチームや全員に対しても。だが、そこには常に前向きな姿勢がある」
「私はシャルルを10年、いや16年知っているが、彼はいつもこうだった。彼はいつもあらゆることに文句を言っていた。しかしそれは、より良い仕事をするための前向きな動きになっているんだ」
「4位であろうと3位であろうと1位であろうと関係ない。より良い仕事をすることが我々のDNAだ。私はこれを完全に受け入れているし、私にとって最重要なのは、彼らがデブリーフィングで同じ姿勢を持ち続けることだ。より良いマシン、より良いチーム、より良いあらゆるものを目指す。そうやって我々は改善していくんだ」
さらにバスール代表は、むしろドライバーがチームに批判的であることを奨励しているとまで述べている。
「もしドライバーたちが『我々は良い仕事をしている』と言ってきたら、私は打ちのめされるだろう」と彼は続けた。
「ドライバーにとってシーズンの総括とは、どこを改善できるかを見つけることだ。私は『ここが良かった、あそこが良かった』と言ってくれることを求めているわけではない」
「チームをより良い仕事へと押し上げることが彼らのDNAであり私のDNAなんだ。つまり、ルイスであれシャルルであれ、チームを限界までプッシュしなければならないのだ。あらゆる領域でね。我々は確実に改善できる。改善ができない場所など無い」
「昨年、我々は最終コーナーに至るまで戦っていたし、そのときの反応もまったく同じだった。シャルルは『OKみんな、あらゆる分野を改善しないといけない。シミュレータ、セットアップ、エアロとね』と言っていた」
「それが我々のすべきことであり、このスポーツの精神なんだ。『フレッド、あそこがダメ、ここもダメ、それも、あれもこれも』と言われようが全くショックを受けないのは、それこそが彼らに求めているモノだからなんだ」

