残酷なメッセージに愕然

私の何がいけなかったの?(写真:iStock)
「帰りの電車の中から、『今日はありがとう。これからもお付き合いしていきたいです』とLINEしました。混み合う車内で、ドアのそばに立ちながら、返事を待っていると…思いもよらないメッセージが届いたんです」
――ごめん…霧子さんのこと、好きになれそうにない。今後、交際はできない。
一瞬、意味が理解できませんでした。
――どういうこと?
――相性が悪いって、分かったんだ。もう会わない。
――どうして関係を持ったの? 遊びだったの?
――遊びじゃないよ。本気だった。
――じゃあ、なぜ?
――関係を持たないと、分からないこともあるだろう?
「その言葉を見た瞬間、体の力が抜けて、崩れ落ちそうになりました。私の何がいけなかったの? どの部分が相性が悪いと感じたの? ―もちろん、そんなことは怖くて聞けません」
その後、どうやって家に帰ったのか、ほとんど覚えていないという。
塾から帰ってきた息子に「ママもお出かけだったの? きれいな格好だね」と声をかけられて我に返り、バスルームでシャワーを浴びながら、声を押し殺して泣いた。
「相性が悪いなら、それはそれでいい。でも…もう少し、伝え方があったはずですよね。『関係を持たないと分からない』なんて、あまりにも残酷です」
天国から地獄に突き落とされ

これは罰なの?(写真:iStock)
翌日、霧子さんは「風邪」を理由にパートを休んだ。
「夫以外と関係を持った罰なのかもしれません。一気に、天国から地獄に突き落とされた気分でした。しばらくは、立ち直れないと思います」
そう語りながら、霧子さんは静かに目を伏せた。
誠実さや正直さは、美徳である一方で、時として人の心を深くえぐる刃にもなる。
悲しい結末ではあったが、彼女は「今回のことは、勉強になりました」と受け止めている。
霧子さんが笑顔になれる日が訪れることを、願わずにはいられない。
(蒼井凜花/作家・コラムニスト)
