ここ数週間、2022年の全米オープン以来1度も大会に出ていない女子テニス元世界ランキング1位のセレナ・ウィリアムズ(アメリカ/44歳)が、競技に復帰するのではないかという憶測が流れている。事の発端はツアーに参加する全選手に登録が義務付けられている「国際登録検査対象者リスト(International Registered Testing Pool)」に彼女の名前が再登録されたと報じられたことだった。
事実、「国際テニス・インテグリティ・エージェンシー」(独立機関/ITIA)の広報担当者であるエイドリアン・バセット氏は以前米メディア『The Athletic』に対し、セレナ側から復帰を希望する正式な通知があったことを認めていた。
しかしセレナ本人は一連の報道を否定しており、先日にはSNSでも「私は戻らない。この騒ぎはクレイジーだわ」と投稿。再び検査対象者リストに登録された経緯についても言及しなかった。
現状では、44歳となる2026年にセレナがツアーに戻ってくるという兆候はなく、“事実上の引退状態”にあると言える。しかも最近のセレナは自身が設立したベンチャーキャピタル「セレナ・ベンチャーズ」のマネージング・パートナーとして多くのビジネス投資に進出しているだけでなく、実業家の夫アレクシス・オハニアン氏との間に生まれた2人の子どもを育てながら、家族との生活を大いに楽しんでいる様子もうかがえる。
そんな中でも現在のWTA(女子テニス協会)を創設した一人である元女王ビリー・ジーン・キング氏(アメリカ/82歳)は、セレナが将来的にコートに帰ってくるのであれば「大いに歓迎したい」とオープンな姿勢を示す。英スポーツサイト『Sky Sports』に対し、次のように語った。
「彼女自身はまたプレーしてみたいと思っているのでしょうけど、とても聡明で賢い人だから、再びナンバーワンになるのが厳しいこともわかっていると思う。それでもプレーするのが好きなら、ダメなことだとは思わない。彼女の人生はすでに安泰で、お金を必要としているわけではないし、純粋に人生を楽しんでいるのだから」
キング氏がセレナに初めて出会ったのは、米カリフォルニア州ロングビーチで開催されたテニスクリニックでのことで、「彼女が6歳の時だった」という。その日セレナは姉のビーナス・ウィリアムズ(元1位/45歳)と父のリチャード氏と一緒にクリニックに来たそうで、キング氏は姉妹の「並外れた」ポテンシャルに一瞬で心を奪われたとのこと。中でも6歳とは思えない「サービスの質の高さ」には本当に驚いたと振り返る。
実際レジェンドの“先見の明”は正しかった。27年間のキャリアで、セレナは四大大会23勝を含む73ものタイトルを獲得し、計319週にわたり世界ランキング1位に在位。獲得賞金総額も女子選手史上最高額の140億円以上にも上った。最後にキング氏は改めて「個人的には彼女が復帰してくれたらうれしい」と口にし、“テニス史上最高のサービス技術”を持つセレナのカムバックに期待を寄せた。
文●中村光佑
【画像】セレナをはじめ全米オープン2022で熱戦を繰り広げる女子選手たち!
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