年末年始は食事の機会が増え、生活リズムが乱れやすいことから“胃の不調”を訴える人が例年多くなります。実際、今回の調査でも年代を問わず多くの人が胃の違和感を抱えており、仕事のパフォーマンスや日常生活に影響を感じているという結果が示されました。こうした背景を受け、専門家は「早めに胃を労わる習慣づくりが大切」と呼びかけています。
この記事では、胃の不調が起きやすい理由を医師の解説とともに紹介し、日常で無理なく取り入れられる“胃活”のポイントをまとめました。さらに、管理栄養士が考案した胃にやさしいレシピもあわせて紹介します。食べ過ぎや冷えが気になりやすい季節だからこそ、体に負担をかけすぎず過ごすためのヒントとして参考にしてみてください。
年末年始は“胃疲れ”が急増

年末年始は食事の量や回数が増え、普段と異なる生活リズムになりやすいことから、胃の負担が大きくなる時期といわれています。調査結果でも、年代を問わず多くの人が胃の不調を自覚しており、推計では約1,213万人が胃の不調を抱えていると示されました。

中でも「食べすぎ」「ストレス」「生活リズムの乱れ」は共通して上位に挙がり、忙しい時期ほど胃の休まる時間が少なくなることがわかります。

また、胃の不調は身体面だけでなく、仕事や家事のパフォーマンスにも影響を与えるとされており、「集中しにくい」「疲れやすい」といった声も多く見られました。年末年始はイベントが続く一方で、冷え込みが強くなる季節でもあるため、胃腸への負担が重なりやすい状況といえます。こうした背景から、専門家は早めのセルフケアを意識することの重要性を指摘しています。
なぜ不調が起きる? 医師が語る「胃の不調の正体」

三輪洋人先生
(川西市立総合医療センター 総長)
日本消化器病学会前理事・財団評議員・専門医・指導医、日本内科学会前理事・評議員・指導医・認定内科医、日本内視鏡学会社団評議員・指導医・専門医、日本消化管学会功労会員・代議員・専門医・指導医・胃腸科認定医、日本神経消化器病学会前理事長、Asian Neurogastroenterology & Motility Association ANMA 前理事長。1982 年鹿児島大学医学部卒業。順天堂大学、米国ミシガン大学を経て、2004 年兵庫医科大学消化器内科主任教授に就任。その後、同大副学長、理事なども歴任し、2022 年より現職。著書やメディア出演も多く、2022 年 9 月からは YouTube「Dr.三輪洋人の健康チャンネル」を開設。幅広い世代に健康情報を発信している。2025 年 7 月 14 日に「胃の不調の原因と対策 胃活の教科書」(毎日新聞出版)を出版。
胃の不調が起きやすい背景について、川西市立総合医療センター総長の三輪洋人先生は「胃はストレスや生活リズムの影響を強く受ける臓器であり、年末年始は特に負担がかかりやすい時期です」と指摘します。暴飲暴食や早食い、寝不足が続くと胃の働きが乱れ、消化に必要な時間が確保できないまま次の食事を迎えることで、さらに負担が蓄積してしまうといいます。

また、調査では「年齢に関係なく胃の不調が起きている」ことも示されており、特に20代後半で不調のピークが見られる傾向がありました。仕事や生活が忙しくなる年代では、ストレスや不規則な食事が重なりやすく、胃のコンディションを崩す一因となっているようです。「胃の違和感をそのままにせず、早めに生活習慣を整えることが大切です」と三輪先生は話します。
