性犯罪の防止には「第三者の関わりが重要」
課題とされる利用料金については「実感として上がってきている」とし、その背景として次のように説明した。
「人件費の高騰や、人材確保の問題もあります。ベビーシッターは時給制とするところがほとんどで、人材を確保するために時給がどんどん上がってきている印象です。1時間あたりの利用料金の平均は長い間2000円程度が相場でしたが、3000円近くなってきました。
国が実施している『企業主導型ベビーシッター利用者支援事業』(厚生年金適用事業所に勤める人が仕事のためにベビーシッターを利用した場合に受けられる割引券の制度)や、自治体が行なっているベビーシッターの助成制度などがかなり広がっていると思われます。そうした要因や人材確保の問題が利用料金の高騰の背景にあるのかもしれません」
また、ベビーシッターによる性犯罪というおぞましい事案の発生を防ぐには「第三者の関わりが重要では」と話す。
「性犯罪事件はマッチングサイトに登録していたベビーシッターによるものが起こったことがありますが、事業者型でも起こり得ることと考えています。
事業者型の場合は、採用にあたっても志望者と面接・面談を行ないます。また、事業者が雇用をして仕事を受け、それをもとにシッターを派遣する指揮命令権は事業者が持っています。マニュアルがあり、社内研修の実施も前提ですので、そういう意味で第三者の関わりがあるかどうかというのは非常に大事だと思います。
何かトラブルや不安なこと、派遣されたシッターさんと合わないといったこともすべて事業者に言えばコーディネーターが対応しますので、利用者の安心にはつながると思います」
いっぽうのマッチング型では子どもの死亡事件を受け、マッチングサイトのガイドラインが設けられたという。
「マッチング型は『今日すぐにベビーシッターをお願いしたい』といった急なご依頼にも対応ができるという利点がありますので、事業者型と両方使う方もいらっしゃるかもしれません。
まずは事業者型とマッチング型があること、またそれぞれの特徴がありますので、利用者様にしっかりご理解いただいた上でご利用いただきたいと思っております。私どもとしては、安全に利用していただくために、それぞれのメリットやデメリットに関して啓発をしてきたいと考えております」
こども家庭庁が公表した令和7年度補正予算案では、「子育てしやすい環境の整備」の一つとして「安全で質の高いベビーシッター利用促進事業」を掲げている。より安全で、利用しやすいベビーシッター制度が整備されることを期待したい。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

