小泉大臣、中国報道を否定
小泉防衛大臣は、中国軍の艦艇から自衛隊の護衛艦に対し、「飛行訓練を開始する旨の連絡があった」ということは認めたが、「訓練を行う時間や場所の緯度・経度を示すノータム(航空情報)もなく、船舶などに示す航行警報も、事前に通報されていない」と続けた。
要するに、まったく連絡がなかったわけではない。だけど、肝心の訓練場所や時間を示すノータムはなかったということだ。
それでも小泉大臣は当初、内容は不十分ながらも中国側から訓練開始の連絡が艦艇ルートであったことを公表していなかった。確かに、正確な経度や緯度など空域、海域を示すノータムではなく、不十分なものだった。そうした小泉氏の言い分は正しいといえる。
ただ、中国側はこうした小さな隙を見逃さない。
日本の甘い脇を突く中国、のっかるTVコメンテーター
中国外務省の報道官は「日本側は以前は中国側から事前に通報を受けていなかったと言っていたのにいまは受けたと認めている。このような矛盾が証明しているのは日本がわざと騒ぎを起こして、デマを流す茶番の仕掛け人だということだ」と強弁し、中国側の行動は正当だと主張している。
日本側はあくまで、必要十分な情報提供がなかったという主張だったが、事実をねじ曲げてでも中国側は針小棒大に情報操作して国際世論に訴えていく。そのため日本はとにかく正確な情報提供をしつこく続けていくべきだろう。
現に、日本のテレビに出ている日本人コメンテーターでもこうした中国側の主張に乗っかり、日本政府や防衛省の失態だ、と訳知り顔で中国の肩を持っている人物もいる。
統幕の広報担当の1人は反論する。
「そもそも問題の本質はそこじゃないでしょう。30分にわたって戦闘機が戦闘機にレーダー照射を続けたことが問題であって、事前に訓練通知があったかどうか、それが丁寧だったかどうかなんて以前の問題だ。どこの国のテレビ局なんですか」とあきれ顔でぶちまける。
歴史を振り返れば、たった一発の銃声が世界を巻き込む戦争に発展したこともある。第1次世界大戦はサラエボ事件で一発の銃声がヨーロッパ全土を巻き込む世界大戦になってしまった。

