日本人にその覚悟が求められているのだろう
泥沼化して日本を破滅に導く引き金となった日中戦争は「盧溝橋事件」という日本軍と中国軍の偶発的な武力衝突がきっかけだ。
北京郊外で日本軍が演習中に中国側からとみられる実弾射撃(*空砲だった、そもそもなかったなど諸説ある)があり、直後の点呼に日本兵士1人が所在不明となって(後に戻ってきた)戦闘状態に突入したと言われている。
今さら言うまでもなく「台湾統一」は習近平氏の悲願だ。今年11月に中国は空母3隻体制になった。防衛省幹部は「今後は沖縄周辺での空母艦載機の訓練は常態化する可能性もある」とみている。高市早苗総理が「台湾有事は存立危機事態になりうる」と発言した国会答弁から、中国は明らかに軍事的な威嚇モードに突入した。
ただ、2028年には習氏は3期目の任期満了を迎えることから、遅かれ早かれ台湾海峡への野心は隠さなかっただろう。だから、アメリカのトランプ大統領をレアアースと大豆輸入というディールで黙らせ、着々と準備を進めてきた。
その準備が整う前に、高市総理が国会答弁で「台湾有事」を可視化させてしまった。習近平氏への個人崇拝が進む中国とは、もはや軍事の現場レベルで日中が設置したホットラインは機能しない。現場レベルではもはや何も判断が出来ないからだ。
自民党の防衛大臣経験者は今後も中国の威圧は続くとみている。そのうえで、今後の展望をこう語る。
「高市総理の国会答弁は習氏の虎の尾を踏んだのだろう。ただ、いま目の前の危機を可視化させてくれたとも言える。今後は経済、軍事の両面で威嚇や威圧を続ける中国と日本は向き合っていかなければならない。国同士は引っ越しが出来ない以上、日本人にその覚悟が求められているのだろう」
文/長島重治

