年末年始の海外旅行シーズンを前に「中国経由の便を予約してしまったが、このまま行って大丈夫なのか」という不安が一気に広がっている。背景には、高市早苗総理の台湾有事に関する発言を機に、日中両国の緊張が高まる一方という情勢がある。「ただちに危険」という段階ではないものの、中国本土を経由する旅程には実務的なリスクが確実に増しているのだ。
その上でまず押さえておきたいのは、空港での足止めリスク。外交関係が悪化すると、入国審査や乗り継ぎのチェックが厳格化する傾向があり、到着ゲートで長時間の待機を命じられるケースが出てくる。過去には第三国籍の乗客が出生国を理由に長時間の足止めを食らったニュースが報じられており、トランジットのみでも「完全ノーリスク」とは言えない。
加えて、運航スケジュールの急な変更にも注意が必要となる。日中間の路線は政治情勢によって航空会社が販売停止や減便を行う可能性があり、すでに一部で調整が行われている。年末年始の混雑期に欠航が発生すると、代替便はほぼ満席。最悪の場合、目的地到着が数日、遅れるおそれがある。
空港周辺の状況にも気を配りたい。政治的な話題に敏感な時期は、大規模な移動制限や集会が発生することがある。思わぬ事情で空港外に出ざるをえなくなると、移動や通信の確保に困ったりも。
こうした事態に備え、航空会社には出発前から最新の運航状況を確認し、欠航時にどのような振替措置が取られるのかを必ず把握しておきたい。乗り継ぎ時間には十分な余裕を持たせ、できれば制限エリア内で待機することで、想定外の入国手続きは避けられる。
また、外務省の「たびレジ」に登録して緊急時の情報を受け取れるようにしておくのもよい。現地で政治的な話題に触れたり、空港職員や施設を不用意に撮影することは誤解を招きかねないため、控えるべきだろう。
もちろん最も確実な回避策は、中国本土を経由しないルートへの変更だ。しかし、すでに予約を入れている場合はこれらの点を踏まえつつ、出発直前まで最新情報を追い、慎重に判断することが、トラブルなく年末年始を過ごすための最善策となるのだ。
(旅羽翼)

