来年1月26日付で大相撲の常盤山部屋を継承する湊川親方(元大関・貴景勝)に対し、角界から期待と不安の声が交錯している。いったいなぜか。スポーツ紙相撲担当記者が解説する。
「元大関として、実績は申し分ない。おかみさんは元大関・北天佑の娘さんで、しきたりに慣れています。でも唯一の心配が、親方の体重問題。現役時代から40キロ以上も痩せた体で弟子に稽古をつけられるか、心配ですね。申し訳ないけど、今の体ではまわし姿はあまりしっくりこないですよ」
全ての部屋持ち親方が自らまわしを締めて、土俵に下りるわけではない。ただ、引退直後の親方は自らの体で若い力士を鍛え上げるケースは多い。相撲担当記者が続ける。
「元横綱・隆の里の鳴戸親方は、弟子の若の里(西岩親方)が関脇になってからも胸を出し、転がしていたというエピソードを残しているほどです。元横綱・照ノ富士の伊勢ヶ濱親方だって、土俵に下りることがありますからね」
もちろん、実際に自らの体を使って指導することが全てとは言わないが、年齢を重ねた師匠や部屋付き親方がいたり、関取衆がいる部屋は、師匠が声だけの指導や、場合によってはいるだけで力士は稽古に身が入る。
ただ、若く経験もない湊川親方の場合はそうではないが、逆にそこに期待する関係者も多い。ある親方は、
「相撲界の稽古は年々、変わっているからね。朝稽古をしない部屋もある。昔は四股やてっぽうの基礎だけやっていろ、とウエートトレーニングをやらせなかった部屋があった。貴景勝がどんな指導をするか、興味津々だよ」
異例ともいえる20代での部屋持ち親方、師匠になる湊川親方の挑戦が始まる。
(阿部勝彦)

