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【MotoGP】ドゥカティ過去最大に複雑な契約交渉? 圧倒的強さでチャンピオンのマルケス、もう安く楽には使えない

【MotoGP】ドゥカティ過去最大に複雑な契約交渉? 圧倒的強さでチャンピオンのマルケス、もう安く楽には使えない

2025年、ドゥカティはマルク・マルケスと共に再びライダーズタイトルを獲得。コンストラクター、チームと合わせて3冠を達成した。

 好調なシーズンを経たものの、ドゥカティはマルケスを2027年以降もチームに留めておけるかどうか、当初の契約よりも遥かに複雑な交渉に直面している。

 ドゥカティは近年、日本メーカーが戦闘力を落とす傍らで圧倒的な強さを発揮。それによってライダーたちには、結果を出すために「ドゥカティに乗りたい」と思わせ、そのためならライダー側が犠牲を払うことも厭わないような状況を作り上げた。

 その最大の事例がマルケスだろう。2020年に大怪我を負ったあと、ホンダの低迷もあり自信を失いかけていたマルケス。彼は巨額の報酬が約束されているホンダとの契約を早期に破棄して、ドゥカティの型落ちマシンを使っていたグレシーニへ“無給”と言えるような条件で移籍した。それだけドゥカティのマシンに乗ることを彼が優先していたのだ。

 グレシーニで速さを取り戻していったマルケスを、ドゥカティは2025年のファクトリーチームのライダーとして起用したが、これはマルケスにとって思惑通りの展開だった。

 そしてマルケスは2025年に、年間11勝という圧倒的な強さでチャンピオンに輝いた。このマルケスの圧倒的なパフォーマンスこそが、ドゥカティの次契約に向けた頭痛の種となっている。

 契約額の詳細は不明のままだが、Motorsport.comが把握している情報では、マルケスの現在の基本給は約300万ユーロ(約5億5000万円)であったと見られている。これはあのマルク・マルケスが相手と考えれば非常に安価と言える。しかしその代わり、極めて手厚い出来高ボーナスが用意されていた。インドネシアで負傷するまでに挙げた11勝によって、マルケスには200万ユーロ(約3億6500万円)以上のボーナスが振り込まれているはずだ。

 さらにチャンピオンに輝いたことで、200万ユーロが上乗せされたと見られている。マルケスが2025年シーズンに示した圧倒的なパフォーマンスに比例し、支払額は増加している。

 今、ドゥカティはフランチェスコ・バニャイヤが低迷していることもあり、全てがマルケスを中心に回っている。今のマルケスの市場価値は、かつてホンダ時代に絶対王者として君臨していた頃の水準に戻った。それが、マルケス側に強大な交渉力をもたらしている。

 Motorsport.comの調べでは、両者の最初の話し合いはアジアラウンド開始前、つまりタイトルを獲得を決めた日本GPの前に行なわれたようだ。そして最終戦バレンシアGPで再度話し合いが行なわれ、合意に向けた動きが進められていると推測されている。なおマルケスは負傷によって終盤4戦を欠場したが、これがどの程度影響を及ぼしたかは分かっていない。

 マルケスが2028年までドゥカティに残りたいと考えているのなら、話は早い。ドゥカティは新たな看板ライダーを引き止めることは最優先だし、チームメイトが低迷している状況ではなおさらだ。

 問題は、ドゥカティが資金面ではホンダやヤマハほどの余裕がないという点だ。中国とアメリカという二大市場への輸出が順調ではないだけではなく、アメリカの関税政策もドゥカティに打撃を与えている。

 さらに親会社の状況も良くない。アウディは2024年に売上を11.8%減らし、ドゥカティ含むアウディ傘下には予算の抑制措置がとられ、それが次の契約を結ぶ2026年まで続くという。

 こういった情勢を踏まえると、現在のドゥカティのオフィスに漂う空気は、1年半前とはまったく異なっているだろうことが分かる。ファクトリーチーム移籍決定時のマルケスは、提示された条件をほとんど異議なく受け入れた。しかし、もし彼の賭けがうまくいき、再び勝利を重ねることができれば、当然ながら「攻めに転じる」時が来るのは当然だったし、そして今まさにその時が到来したということだ。

「すべてのピースが然るべき場所に収まるべきだし、それが当然のことだ。我々は最善の方法で状況を管理するために腰を据えて話し合うつもりだ」

 ドゥカティ・コルセのゼネラルマネージャーを務めるジジ・ダッリーニャは以前、motorsport.comにそう語った。

 マルケスが契約を更新しないとはほぼ考えられていない。しかし、確実なのはマルケスの残留が、チームメイトの選択には確実に影響を与えるだろうということだ。バニャイヤは「できるなら契約を更新し、ドゥカティで引退したい」とこれまで語ってきた。

 しかし、それが実現するためには2つの条件が必要となると見られ、そしてどのどちらも不確定な要素を含んでいる。1つ目はバニャイヤが2026年に復活し改善できるかどうか、そして2つ目は金銭面での要求を引き下げる意思を持てるかどうかだ。もしそうでない場合……バニャイヤのシートを狙っているライダーは、パドックの端まで伸びている。

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