今、プロ野球界の話題といえば、クライマックスシリーズ(CS)の存在意義だ。阪神が2リーグ制では最速となるリーグ優勝を決めた。以後、指摘されているのは、CSファイナルステージが始まる10月15日までの日程問題だ。それまで1カ月以上も空いてしまうため、
「阪神ナインの緊張感が途切れてしまう。CSを落として日本シリーズに行けなかったら、ペナントレースの意義が…」(球界関係者)
しかし、そのCSと日本シリーズの間には、忘れてはならない一大プロジェクトがある。ドラフト会議だ。今年は高校、大学、社会人の全てに好選手が多い。そこで指名されるか否かで秘かに関心が寄せられているのが、オイシックス新潟アルビレックスBCの外野手・知念大成である。
「昨年のイースタン・リーグの首位打者です。でも昨年は指名がありませんでした。今季も打点63(9月23日時点、以下同)はリーグトップです」(在京球団スタッフ)
知念は左投げ左打ちのスラッガーで、沖縄尚学、沖縄電力と進み、「プロ入りの夢」を諦めきれず、2024年から2軍参入するオイシックス新潟に移籍した。今季は打率2割8分4厘(リーグ3位)、9本塁打(同3位)と結果を残しているが、NPB球団からの指名についてはまだ確証がない。
「昨年のドラフト会議では、複数球団から調査書が届いたと聞いています。来年4月で26歳。外野手で左打ちのスラッガーというと、どのチームにも似たタイプの選手がいるので…」(前出・在京球団スタッフ)
年齢はマイナスにはならない。都市対抗野球の出場チームを見れば分かる通り、30歳を過ぎてもスタメン出場する選手が増えてきた。選手寿命が延びたことは、スカウトも認めている。
「肩が強く、俊足で身体能力の高い選手です。外野守備も巧いですよ。沖縄電力に所属していた頃、その大半は投手登録でした。打撃力を買われて野手出場もしていましたが」(元スカウト)
沖縄尚学時代の一学年先輩には、巨人で覚醒したリチャードがいた。そのリチャードは長らく1軍の壁を超えられず、「2軍の帝王」と揶揄されてきた。知念も環境が変わることで、さらに成長する可能性がある。投高打低の各球団は、イースタン・リーグの猛者に「第2のリチャード」を重ねて見ているのではないだろうか。
(飯山満/スポーツライター)

