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ハイヒール消滅の危機「今いる職人がいなくなったら終わってしまう」…コロナ禍で売上が半分以下に、老舗メーカーが語る存続の行方

ハイヒール消滅の危機「今いる職人がいなくなったら終わってしまう」…コロナ禍で売上が半分以下に、老舗メーカーが語る存続の行方

国内ハイヒールメーカーが挑む“コンテストサンダル”と“ローヒール”

一方で、近年は明るい兆しもあるそうだ。

「コロナ禍以降で落ち込んだ売り上げは、ここ1〜2年で少しずつ戻ってきています。そうした中で、いま私たちが最も力を入れているのが、ミスコン出場者向けの“コンテストサンダル”『BlueButterfly』です。企画は弊社で行い、製造は海外で進めながら、ブランドの認知拡大にも注力しています。

いわゆる“キャバ嬢の厚底サンダル”と似ていますが、“コンテストサンダル”は、審査基準となる立ち姿に合わせ、細部まで計算された設計が求められる高度なプロダクト。自己啓発の一環としてコンテストに挑戦する若い人も増えている上に、他社が本格参入していない領域なので、今後も伸びていく市場だと考えています」

そして、高さのあるハイヒールづくりを続ける理由について、津山氏はこう語る。

「7.5センチ以上のヒールは、今の市場だけを見ると確かに厳しい。それでも“やめない”理由があるんです。長年支えてくれた工房の技を途切れさせたくない。14センチヒールで知られるコメックスブランドの存在感も守りたい。これは意地にも近い思いです」

一方、ハイヒール市場が変化したことで、新たな需要も見え始めているそうだ。

「コメックスの“メイド・イン・ジャパン”には根強いファンがいますので、大きくデザインを変えるつもりはありませんが、同時に新たな試みとして、今年中に7センチや5センチの中ヒールやローヒールを発売する予定です。

ハイヒールメーカーが手がけるローヒール。“本質的な美しさ”の基準を崩さずに、より幅広い層に寄り添うラインナップへの拡張を目指していきます」

日本でハイヒールはこれからも存続できるのだろうか。最後に、国内市場の将来性について聞いた。

「日本では海外ほど“ドレスアップして出かける”文化が根づいていません。しかし、いまはコロナ禍前の生活様式が戻りつつある時期です。だからこそ、シーンに合わせて靴を選ぶ習慣が広がれば、ハイヒールが活躍する場面ももっと増えていくはずです」

取材・文/逢ヶ瀬十吾(A4studio) サムネイル/Shutterstock

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