アメリカ政府は観光目的でビザなし入国できるESTA(旅行者の適格性を判断する電子システム)利用者に対し、過去5年間のソーシャルメディア情報の提出を求める新たな措置を、12月10日に提案した。対象はイギリスや日本など約40カ国で、これまでは簡単な個人情報と40ドルの支払いだけで2年間有効の渡航認証を取得できた。
ところが新提案ではSNSに加え、過去5年間の電話番号や10年間のメールアドレス、家族情報の提出が必要になるという。具体的な内容はまだ明らかにされていない。
この背景には、海外での違法労働、とりわけ風俗関連の出稼ぎ問題がある。近年、ハワイなどで日本人女性が入国拒否される事例が相次いだことで、アメリカ側はこうした人物の入国防止を強化している。現地事情に詳しいスカウト関係者が、危機感をあらわにする。
「欧米での海外出稼ぎは今後、さらに厳しくなりますね。合法ではない活動に関われば、入国拒否や逮捕などのリスクが高まります」
では欧米が難しくなった場合、次の目的地はどこか。このスカウト関係者によると、
「韓国、マカオ、タイが有力候補になるでしょう。実際に韓国では最近、日本人女性のマンション型性サービスが増えています。ただしタイは最近、ノービザ入国者に対して2万バーツ以上の所持金を確認するなど規制を強化しており、どんどん厳しくなっています」
海外で違法労働に手を出せば、労働者としての権利はほとんど守られず、トラブルに巻き込まれた場合、法的保護は期待できない。
「安易に海外出稼ぎに手を出すことは、自らの人生を危険にさらす行為」(前出・スカウト関係者)
ESTA制度の変更は単なる旅行者管理ではなく、違法活動に対する国際的な監視強化の表れでもある。海外で楽して稼ぐ「甘い誘い」には、必ずリスクが伴うことを肝に銘じるべきだろう。
(カワノアユミ)

