自転車に乗ったら乗用車の運転免許停止処分を受けた――。そんな思わぬ事態に直面する人が今、相次いでいる。今年1月から9月だけで全国896人。昨年1年間と比べて10倍以上という異例の数字で、免停期間は最長180日に及ぶ。理由は「自転車の飲酒運転」だ。「自転車に乗っていただけなのに」と驚く声が多いのも無理はない。
道路交通法では、自転車は「軽車両」に分類されている。飲酒運転など危険性が高い行為と判断されれば、自転車での違反であっても、保有している自動車免許に処分が及ぶ仕組みだ。「自転車だから大丈夫」という考えは、すでに通用しなくなっている。
来年4月からは、自転車のルールがさらに明確、厳格になる。自転車にも「青切符(交通反則通告制度)」が導入され、16歳以上が対象となるのだ。これまで注意や指導で終わることが多かった違反が、反則金という形で処理されるようになる。
特に注意したいのが「一方通行」の扱いだ。車やバイクのルールと思われがちだが、自転車も対象に。住宅街で何気なく逆走していた道でも、一方通行の指定があれば反則金が生じる。生活道路の中には、安全対策として一方通行に指定されている場所が少なくない。普段よく使う道ほど、標識を改めて確認しておきたい。
歩行者用の「分離信号」も、勘違いしやすいポイントだ。歩行者信号が青になったからといって、自転車のまま交差点を渡ると、信号無視と判断されることがある。渡る時は自転車を降りて押せば、歩行者として扱われる。
駐車禁止エリアへの「駐輪」も同様だ。「少しの間だけ」「邪魔にならない場所だから」と思って止めた場所でも、ルール上は違反。自転車だからといって、例外はないのだ。
一方、自動車を運転する側にも変化がある。狭い道で前を自転車が走っていた場合、これまでは気にせず横を通り過ぎてきた人は多いだろう。だが、間隔が取れない場合は無理に通過せず、スピードを落として様子を見ることが求められる。自転車を追い抜く際は、間隔が取れなければ減速して安全に通過するというルールが、はっきり示されたのだ。
自転車に関するルールは、大きく変わっている。忘年会の時期となる今、日常の移動手段としての使い方を、きっちりと整理しておきたい。
(ケン高田)

