「どう?泣けるでしょ?」の連続

(C)日刊ゲンダイ
最後に、「感動の押し売り」です。前述のように、このドラマの肝になって欲しかった遺品整理パートですが、他の色恋沙汰やら諸問題やらサスペンス要素やらでかなり尺が短くなっています。
それでも遺品整理会社を舞台にしたのだからと、唐突に故人から遺族への胸を打つメッセージなどが放り込まれ、演技派・草彅さんの泣きの芝居も相まって、「どう?泣けるでしょ?」という作り手の意図がありありと透けて見えてきます。そのように感動を押し売りされても、てんこ盛りなあれこれを把握するのに忙しい中、気持ちが追い付きません。
役者・草彅の演技は唯一無二

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このドラマで確認出来ることは、草彅さんの演技はやはり唯一無二だということです。故人の想いに心震わせたり、遺族のために感情を爆発させ絶叫したりと、断面的に見ればグッとくるものがあります。
雑音の無いシンプルなストーリーであれば、もっと役者・草彅さんの素晴らしさを堪能出来たはずで、草彅さんの無駄遣いと言われても仕方ないかもしれません。
草彅さんにはまた、テーマが明確な「僕の生きる道」をはじめとする「僕シリーズ」(カンテレ・フジテレビ系)や、モヤモヤをスカっと晴らしてくれる「戦争シリーズ」など、その演技にふさわしい作品が巡ってくることを願ってやみません。
(こじらぶ/ライター)
