超高速再生が上達につながるのは記憶の圧縮と統合が起きているから

今回の研究により、新しいスキルの上達に重要な要因が解き明かされました。
休憩中に脳内で起こる練習内容の超高速再生が、技能上達の鍵となっていたのです。
そして上達の個人差は、休憩中に起こる高速再生の回数に依存していました。
また休憩による上達効果は、経験的によく言われる1晩おくものではなく、ほんの「秒」単位で起こることも示されました。
さらに追加の実験から、休憩中の高速再生が行われるのは脳の「感覚運動領域」、「海馬」、「嗅内皮質(きゅうないひしつ)」の3カ所であることも判明します。
研究者たちは、休憩に入ることで、これら3カ所の脳領域が緊密に情報交換を行い、練習内容の圧縮・統合することで、上達効果をうみだしていると結論しました。
もし今後、新しいスキルを学ぶ予定があるのならば、練習の合間になるべく多くの「短い休憩」をとるといいかもしれません。
根性論的な、ぶっ続けの練習よりも大きな効果をうむかもしれません。
参考文献
Study shows how taking short breaks may help our brains learn new skills
https://www.ninds.nih.gov/News-Events/News-and-Press-Releases/Press-Releases/Study-shows-how-taking-short-breaks-may-help-our-brains
元論文
Consolidation of human skill linked to waking hippocampo-neocortical replay
https://doi.org/10.1016/j.celrep.2021.109193
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部

