昭和の空気をまとった部屋やファッションをSNSに投稿し、多くの若いフォロワーから支持を集める24歳・阪田マリン。中学生でレコードと出会ったその瞬間から、彼女の「昭和」は始まった。
「懐かしい」でも「古い」でもない。平成生まれの彼女にとって昭和は、“新しい文化”として立ち上がったという。(前後編の前編)
チェッカーズのレコードに針を落とした瞬間、昭和が始まった
――まずは、昭和カルチャーに惹かれた最初のきっかけを教えてください。
阪田マリン(以下、同)中学2年生のとき、おばあちゃんの家にレコードプレイヤーがあったんです。私は完全にCD世代だったので、“どうやって使うんだろ?”って状態で。
おばあちゃんに使い方を教えてもらって、家にあった父のレコード――チェッカーズの『SONG FOR U.S.A.』を聴かせてもらったら、「針1本でこんな音が出るんやだ!?」ってすごく感動しました。
――どうしてレコードがご自身にそこまで刺さったんでしょうか。
平成生まれにとって、昭和は懐かしくもないし、古臭くもないんですよ。むしろ“新しい”。未来的に感じたんです。それが大きかったと思います。
――平成・令和の文化と比べて、昭和のどんな点に惹かれますか?
アナログかどうか、ですかね。スマホがあれば全部できてしまう今って、待ち合わせも連絡も手軽です。でも昔は、電話ボックスに行って10円玉を積んで電話したり、家に電話するときも“親が出るかもしれない”ってドキドキしながらかけたりして、本人に繋がった瞬間に喜んでって……。1個1個のことに喜びの起伏があったんやろうなって思うんです。
――ある意味、“不便さが良かった”という感覚ですよね。
そうですね。完全じゃないところが、逆に魅力なんだと思います。
――若い世代にも昭和カルチャーが流行っている理由は何だと思いますか?
やっぱり“新しさ”ですね。昭和を経験したことない子が好きになるのって、それだけ新鮮だからだと思います。あと、友だちに聞くと、“昔親が車で流してた曲を、最近また聴いてみたら好きになった”って話が多いですね。
――やはり、入り口は親御さんの影響が大きいのですかね。
そう思います。家庭で自然に触れてたものが、後になって“昭和だったんだ”と気づく感じです。
思わず「ジャケ買い」した昭和の名アイドル
――最初にご自分で買った昭和アイテムは覚えていますか?
レコードです。おばあちゃんの家で聴いて、「自分でも買ってみよう」と思って。でも当時は昭和のアーティストも全然知らなかったので、完全にジャケ買いでした。
――ジャケットのどの部分に注目して「ジャケ買い」していたのでしょう。
色味がカラフルで可愛いとか、アイドルがかっこいい・可愛いとか……。完全に自分の好みです(笑)。もちろん“ハズレ”もあったし、“めちゃくちゃ当たり”もありました。
――その“めちゃくちゃ当たり”だったというのは?
小泉今日子さんの「まっ赤な女の子」です。このレコード、ヴァイナル(素材のビニール)が赤かったんですよ……! 当時はレコードって全部黒いと思ってたので、透明感のあるクリアの赤を見てすごくテンション上がりました!
――その時点ではキョンキョンのこともまったく知らなくて買ったんですね。
はい。レコードで初めて知りました。見た目から好きになりました。
――ハマっていく過程で、両親の反応はどんなものでした?
お父さんはすごく喜んでました。「俺の残してた1枚でこんなに好きになってくれたのか」って(笑)。
昭和のことって、昭和を経験した人に聞かないと分からないことばっかりじゃないですか。だから、「当時何が流行ってた?」「バブルってどんな時代?」「どんな音楽が街で流れてた?」とか、ひたすら親に質問するようにもなりましたね。
――SNSに投稿されている昭和感たっぷりのお部屋も素敵ですね。コンセプトが気になります。
結構年代で分ける人もいると思うんですけど、私は「80年代風」「70年代風」みたいなこだわりはないんです。80年代のものもあれば、70年代の看板もある。ただ“可愛いと思った昭和のもの”だけを集めています。結果的に、自分の好きなものを詰め込んだ“昭和の部屋”になりました。

