【恐怖の銀幕ミステリー2】
ホラーからコメディーまで、なんの因果か、人々を呪い殺す映画がこの世には存在する。あなたが公開を待ち望んでいるその映画も、呪われた映画かもしれない…。
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不可解な殺害事件で命を落とした5人目の犠牲者
『Atuk』は幾度とない製作中止に加えて、この頃にはもう主演を引き受けてくれる猛者はいなくなっていた。
ところが、ノーマン・ジェイソン監督の粘り強い熱意により、主演を引き受けてくれる俳優が見つかってしまったのだ――彼の名は、フィル・ハートマン。アメリカで公開された英語版『魔女の宅急便』では黒猫ジジの声を担当するなど、実力派のコメディアンとして知られていた。
3度目の正直ならぬ「5度目の正直」で、今度こそ製作されると思われた『Atuk』であったが1998年、ハートマンは自宅の寝室で銃殺されているのが発見された。同時に浴室では妻であり女優のブリン・ハートマンが、拳銃でみずからの頭を撃ち抜いて死亡しており、彼女が夫を殺害後、自殺したものとされている。殺害動機は今もって不明のままだ。
ハートマンは『Atuk』のオファーを何度も断ったと言われているが、スカウトマンがあまりにもしつこく、根負けして主演を引き受けてしまったそうだ。その判断を、あの世で悔いていることだろう。
現在、『Atuk』の製作は凍結され、いつの間にか脚本も紛失。その行方はいまだに分かっていないという。いずれどこからか脚本が発見され、製作が再開された場合、『Atuk』は6人目の犠牲者を出してしまうのだろうか――。
呪われた映画は何も『Atuk』だけではない。『Atuk』はコメディー映画だったが、呪われた映画にはやはりホラーが多く、巨匠スティーヴン・スピルバーグが製作・脚本を担当した、かの有名な『ポルターガイスト』(1982年)は、出演者に多数の死者を出している。
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わずか12歳で死亡したヒロイン!
シリーズ1作目で長女・ダナを演じたドミニク・ダンは撮影終了後、別れ話のもつれから恋人に絞殺されてしまう。また、1986年に公開されたシリーズ2作目では、ケイン牧師役のジュリアン・ベックが公開直前に胃がんで、祈祷師テイラー役のウィル・サンプソンは、心臓と肺の移植手術後に腎不全で死亡した。
さらに、シリーズ3作品すべてに出演したヘザー・オルークは、『ポルターガイスト3』の撮影中に腸疾患のクローン病と診断され、公開前にわずか12歳という若さでこの世を去っている。
そのほかにも『エクソシスト』(1973年)は、家のセットが火災に見舞われ、犠牲者こそ出なかったものの、6週間にわたる撮影の中断を余儀なくされた。また、撮影中から公開直後までのあいだに、スタッフやキャスト合わせて9人の死亡が確認され、イタリア・ローマで開催されたプレミアム上映会では、会場の正面にある教会に雷が落ち、十字架が倒れたことからも、呪われた映画として有名だ。
そして、映画が殺すのは、何も撮影に携わったキャストやスタッフだけではない。それを鑑賞する観客にも、時として呪いの魔の手は伸びるのだ。
たとえば、キリストが磔刑に処されるまでの最後の12時間を描き、撮影中も何かとトラブルに見舞われた映画『パッション』(2004年)では、公開初日に映画館へ駆けつけた50代の女性が心臓発作で亡くなっている。
さらに、『死霊館 エンフィールド事件』(2016年)に至っては、インドの映画館で鑑賞していた60代男性が、胸の痛みを訴えて死亡。その後、解剖のために大学病院へと搬送される道中、移送担当者もろとも行方不明となったのだ。2人の消息は、今もって分かっていない。
特にホラー映画を見る際は、我々観客も、それ相応の覚悟をしたほうがよさそうだ。
週刊実話増刊『発禁! 最恐の心霊現象2025夏』より
