
映画「沈黙の艦隊 北極海大海戦」が9月26日(金)に公開される。2023年には劇場版、2024年にはドラマ「沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~」がPrime Video配信された人気作で、今回の続編で描かれるのは、原作漫画随一である潜水艦・やまとのバトルシーン。「北極海大作戦」と題して、氷の海の奥底で戦いを繰り広げるアクションエンターテインメントを届ける。今作でやまとの真実を追い続けるフリーのカメラマン・森山健介を演じる渡邊圭祐にインタビューを敢行。仕事に情熱を持つ男を演じた渡邊は、過酷な現場も楽しめる精神の持ち主。そこで、仕事のポリシーや今作の撮影裏エピソードを聞いた。
■30年前の作品でも「現代の僕たちも共感できる」
――まずは今作のオファーがあった時のご心境からお願いします。
素直に「沈黙の艦隊」に出演させていただけたことがうれしかったです。今作の原子力潜水艦<やまと>が北極海の中で戦うシーンは、一体どんな映像になるのか想像できなかったので、どういう風に作っていくのだろうかとワクワクしました。台本を読んで、30年前の作品とは思えないくらい、現代の僕たちも共感できる作品だと思いました。
――渡邊さんが演じる最前線の現場に乗り込むフリーのカメラマン・森山健介役は、原作にはないオリジナルのキャラクターですよね。
はい。衣装合わせの時にスタッフさんから「やっと柄物が使えます!」と言われました(笑)。皆さん制服かスーツなので、僕だけかもしれません。唯一、カジュアルなチェックシャツを着ていて若者らしい服装をしています。
――内面的にはどのように役を作り上げましたか?
森山は、覚悟を持って報道の現場に挑んでいるジャーナリストの市谷さん(上戸彩)の背中を追いかけるカメラマン。若さ故の勢いがあって、仕事へのプライドを持つ若者像を表現できればいいなと思いました。
あと、市谷さんに恋心を抱くという裏設定を入れてみたら、監督に笑われました(笑)。結婚していて子供も持つ市谷さんに対して憧れの気持ちを持つのは、若者だから許されるところもあるんじゃないかなと思います。原作にはそういう恋愛要素が1ミリも描かれていないので、強く打ち出してはいないですけどね。
■撮影中はヒヤヒヤ「カメラは相当高いですから…」
――森山がヘリコプターから身を乗り出しながらカメラで撮影するシーンもありますが、撮影裏エピソードが知りたいです。
あのシーンは、VFXでセットの中でヘリコプターを使用しての撮影でした。扉を開けて撮っているのですが、“窓から身を乗り出してカメラを撮影する”というのがト書きにあったんです。でも、実際に撮影してみたら、カメラが大きすぎて窓から出られなくて。「扉を開けちゃいましょう」ってなった結果、扉を開けて大胆に撮影するというシーンになりました。
この場面では「カメラマンって命懸けだよな」と思いましたし、緊張感あふれるシーンになったと思います。何より望遠レンズがついたカメラは相当高いですから、個人的には落としてはいけないというヒヤヒヤ感もありました(笑)。
――カメラマン役ということで何かご準備はされましたか?
ありがたいことに、僕はこれまでカメラマン役を演じることがすごく多くて。とはいえ、今まではスチールカメラマンが多かったんですが、今回は初めてのムービーカメラだったので、当日現場で撮影部のカメラマンさん2、3人に持ち方や構え方など何から何まで教えていただきました。
カメラを構えて、全部引きで撮るわけにもいかず、ある程度ズームした状態でカメラを持って外に出たかったのですが、素人がその日身につけた技術では現実的に、一発で捉えられなくて。動く標的を狙うには、結構スキルが必要で。そこは想像力を働かせて撮影するようにしました。
――ジャーナリスト魂みたいなのが感じられるシーンです。
そうですね。森山としての覚悟、市谷さんに対する忠誠心みたいなものも出ているシーンになったと思います。
■共演した上戸彩に、現場でのたたずまいの正解を学んだ
――上戸さん演じる市谷とのシーンが多かったと思いますが、改めて上戸さんの印象と現場でのやりとりで印象的だったことを教えて下さい。
すごく優しくて、温かくて、母性の塊のような方。壁がないフランクな方だったので、後輩としては、非常に接しやすくてありがたかったです。現場では役柄と同じく、頼もしかったですね。あと、お気に入りのうどん屋さんのお話をして下さったのが印象的でした。
――先輩である、上戸さんから学んだことは?
全てを受け入れてくださるような器の大きさみたいなものをすごく感じたので、現場でのたたずまいは、上戸さんのようになれたら正解だなと思いました。常に笑顔でいて下さるので、撮影が長引いても空気が和みますし、僕も頑張ろうと励みになりました。
――ちなみに渡邊さん自身は、カメラってお好きですか?
カメラにハマろうと思ったことは何回かあるのですが、持ち物や手荷物はできるだけ最小限にしたいタイプなので、重い機材であるカメラはハマれずでした。たまにスマホで景色は撮りますが、そんなにデータとして残しておこうとか思わないですし、自撮りは全くしないタイプ。ちょっと恥ずかしくなっちゃうんですよね(笑)。スマホのデータフォルダには、ほぼ台本しか入っていないです。
――仕事のポリシーを強く持っている青年を演じましたが、渡邊さんご自身はお仕事でのモットーはありますでしょうか。
とにかく楽しむことですかね。エンタメって、自分自身が楽しんでいないと、楽しめるものを届けられないと思っています。僕は“楽しい”の概念がすごく広くて、ワクワクすることが楽しいだけじゃないというか。つらいことも、悲しいことも楽しいという感情に変えられる。作品を作る上でどんなに過酷でも、チームで乗り越えていくみたいな時間が好きです。楽しむ力は大切にしたいと思っています。
――楽しむ力、素晴らしいですね。今回の現場で楽しめたポイントは?
現場では、正直「沈黙の艦隊」を撮影しているという実感は、そこまでなかったんです。仕上がったものを見て、すごいスケールの作品に携わっていたんだなと感じたので、映画館で観るのが楽しみです。自分自身もきっとやまとの中にいる感覚で映画を観られるんじゃないかなと思います。魚雷が爆発する音だったり、氷が砕けて下に落ちてくる瞬間だったり。臨場感たっぷりの迫力の映像を大きなスクリーンで観たいです。
■この夏したいことは勉強「赤本を買って勉強をしています」
――仕事に情熱を注ぐ役を演じた渡邊さんが、今情熱を注いでいることは?
料理です。無水カレーを作ったら、すごく簡単で、美味しかったです。トマトとナスとか、夏野菜を入れて濃厚なカレーにしました。味は濃い方が好きなので、無水にするとより美味い出来栄えになりました。
――スパイスにもこだわるタイプ?
いずれ、その領域へ行きたいところですが、カレーをスパイスから作る男はモテないとよく言いますよね(笑)。 僕からしたら、カレーをスパイスから作ることの何がいけないんだろう?と思いますけど(笑)。この半年くらいで、キッチンにようやく立つようになったので、棚のところにスパイスを並べたいです!
――ちなみに趣味はロックフェスとアウトドアということですが、この夏は楽しむ予定はありますか?
今年はロックスフェスのチケットをとっていないんです。20代前半ぐらいの時は、毎年行っていましたね。フェスは野外なので、夏は日に焼けていました。この夏やりたいことは、サーフィンです。
あと、最近は勉強をしたい欲が高め。赤本を買って勉強をしているのですが、「あれ? 意外と解けるかも」と、楽しくて。今は英単語の勉強と古文を勉強し直したいと思っているところです。お芝居とは関係なく、知識欲が刺激されている今日この頃です(笑)。
◆取材・文=福田恵子、撮影=梁瀬玉実

