卓球大国が危機感を抱いている。
卓球のWTTツアー上位者が集う国際大会「WTTファイナルズ2025香港」は現地12月14日に男子シングルス準決勝が行なわれ、張本智和(世界ランク5位)が同2位の林詩棟(中国)を4-3(12-10、11-4、10-12、10-12、11-6、6-11、11-8)で下し、決勝進出を果たした。もう1試合は世界王者の王楚欽が負傷により棄権となり、中国男子は決勝の舞台から姿を消す異常事態となった。
卓球王国が大きな打撃を受けた。準決勝で林詩棟は張本とフルゲームにわたる激闘を展開したものの、最後は押し切られて惜敗した。同選手は日本のエースとの対戦成績で通算1勝5敗と大きく負け越すほど苦手にしていたが、今月に中国・成都市で開催された混合団体W杯では2-1と破っていた。スポーツメディア『捜狐』によると、中国陣営は張本対策として十分な分析をして臨んだが、その戦術が効果的でなかったと肩を落とした。「林詩棟は張本への苦手意識を結局払拭できなかった」と手厳しかった。
さらに張本との激闘後、中国チームにとって予想外のアクシデントが起きた。準決勝第2試合に登場した世界ランク1位の王楚欽が、対戦予定だったトルルス・モーレゴード(スウェーデン、同4位)のもとへ歩み寄り、短い会話をした後にハグを交わす。すると、審判団が王楚欽の「棄権」を発表。最強王者は準決勝のコートに立たず、そのまま辞退する異例の展開に。王楚欽は初戦で日本の18歳・松島輝空を4-3で破り、好調ぶりを見せていただけに、この結末は全くの予想外だった。
今回の結果により、WTTファイナルズの男子シングルス決勝カード(日本時間の午後9時30分)は張本とパリ五輪銀メダルのモーレゴードに決定。『捜狐』は21年以降、中国男子がシングルス決勝の舞台に“不在”となった史上初の事実は「受け入れ難い」とし、「卓球王国としての地位に危機感を抱かせる象徴的な出来事だ」と論じている。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】張本智和が世界ランク2位と壮絶ラリー
【画像】早田ひな、伊藤美誠、平野美宇、張本美和、木原美悠...女子卓球界が誇る“異次元の天才”たちを一挙にチェック!

