
“追われる立場”で正念場のSTVVにあって、存在感をグッと高める日本代表GK。大一番に敗れるも地元メディアはチーム最高の採点7をつけた【現地発】
2位シント=トロイデン(STVV)をホームに迎え撃つ4位アンデルレヒト。12月13日、アストリット・パルク(ブリュッセル)で行なわれた注目の“トッパー(上位対決)”は、アンデルレヒトが2対1で勝利して2位に浮上し、STVVは暫定3位となった。
後藤啓介のPKでSTVVが先制し、アンデルレヒトがFKとCKからゴールを決めてひっくり返したこの一戦。セットプレーが両者の明暗を分けた一面もあるが、試合の流れは終始アンデルレヒトのもの。試合後は両チームから「アンデルレヒトの勝利は妥当なものだった」という声が聞こえてきた。
STVVの強みのひとつである“中盤のトライアングル”を、アンデルレヒトがしっかり封じた。アタッキングゾーンで威力を発揮する伊藤涼太郎&山本理仁のホットラインは、17歳の大型MFナタン・デ・カットとカナダの新鋭、ネイザン・サリバによって消され、パスミスが目立つ結果になった。
「用意してきたことができなかった」とSTVVのDF谷口彰悟主将は言った。その“用意してきたこと”とは?
「ビルドアップのところですね。ゴールキックからのビルドアップも、用意してきたことがなかなかできなかった。相手が対応してきたところの“次”ができないというか。そこがこのチームがまだ未熟なところ。絶対に空いているところはあるんですが、そこを見つけ切れない。そこは、もっと成長しないといけない」
一方的に押されていたなか、STVVは25分、FWムジャが敵陣深い位置でボールを奪い切り、そこからしばらくアンデルレヒトを押し込んだが、このとき続いたSTVVの時間帯はわずか3分。あまりに短かった。
「自分たちが主導権を握れなかった。ボールを持っているときもそう。ボールが無いときもそう。終始、相手のペースだったというのが反省点。自分たちがどう試合を展開したいのか。ボールを落ち着かせたいのなら、しっかり持てばいい。しかし、何かプレッシャーを感じていたのか。ここ(名門アンデルレヒトのスタジアム)の雰囲気もそう。何か圧を感じている、そういうシーンが目立った。イージーなロストが多かったし。落ち着いて、もう少し周りを見て、味方を見つけることができると、もうちょっと違った展開になったなと思います」
STVVの先制ゴールは53分。69分と71分、トルガン・アザールの蹴った悪魔のセットピースからサリバ、ニルソン・アングロにゴールを奪われるまで、STVVは後半、被シュート0だった。
「セットプレーからの失点はゲームを台無しにしてしまう。そこの厳しさはもう一度、チームとしてやっていかないと、ズルズル行っちゃうこともある。今までセットプレーから失点することはあまりなかった。これを教訓に、みんなで締めていかないといけない」
GK小久保玲央ブライアンは試合後、「セットプレーから2失点する、もったいない試合だった。90分間通じて自分たちのプレーができなかった」と振り返った。
2失点を喫したが、それでも小久保は7本のセーブを記録したり、敵味方がひしめき合うゴール前で存在感を発揮したり、こぼれ球に対して果敢に飛び込んでいってピンチを防いだり、まずまずのパフォーマンスを披露。全国紙『ヘット・ニーウスブラット』ではチーム最高の採点7が付いた。
――「自分たちのプレーができてなかった」というときこそGKの見せどころ。セットプレーからの2失点は残念でしたが、個人としてはかなり良いパフォーマンスだったのでは?
「自分的にもいいプレーができたと思います。そこはポジティブに捉えていいのかな、と思いつつも、もうちょっと詰めていかないといけない。失点シーンのところは、自分がリーダーとなって、声がけやマークの付き方などを(味方に指示ができたはず)。セットプレーからの失点というのは、せっかく積み上げてきたことが壊されてしまう。まだ映像は見てませんが、しっかり見直して来週からの練習で採り入れていきたい」
今季に入って成長著しいSTVVの日本人選手たち。そのひとりが小久保だ。試合終盤の勝負どころで飛び出す、彼のビッグセーブによって、今季のSTVVは何回も勝点3を積み上げてきた。ホームスタジアムの大王わさびスタイエン・スタディオンで、これまで何度も「レーオ! レーオ!」の歓声が響いた。
課題だったキックも改善されている。前節のクラブ・ブルージュ戦(3対2の勝利)では2本もロングフィードを前線に通し、味方が決め切れば小久保にアシストが付くはずだった。
――9月にSTVVは3連敗(相手はウェステルロー、クラブ・ブルージュ、ヘンク)しました。クラブ・ブルージュには力の差を見せつけられました。そんな相手に前節、STVVは競り勝ちました。アンデルレヒトに負け連勝が5でストップしたとは言え、チームとしても、小久保選手個人としても成長を感じられるのでは?
「厳しいことを言っちゃうと、今日はまた(以前のSTVVに)戻ってきちゃったのかな、というのがある。次はホームゲーム。今年はあと2試合。そこはしっかり勝点6を積めるように、自分たちも組み立てていかないと、この前みたいに3連敗してしまう。この悪い流れをしっかり(未然に)止めないといけない。
今日、前半終わったときの雰囲気があまり良くなかった。そこはみんなが協力してやっていかないといけない。サッカーはやっぱり11人で戦うスポーツ。加えてスタッフ、ベンチの選手、ベンチ外の選手が一緒になって戦うスポーツ。みんなで協力して勝点3を積んでいかないといけない」
アンデルレヒトとの大一番に懸ける思いが強かったからこそ、タイムアップのホイッスルが鳴ると、STVVの選手たちは失望の色が濃かった。そのせいか、ワウター・フランケン監督の円陣はいつもより長かった。小久保によると指揮官は「今日はいいプレーがなかなかできなかったけれど、みんなで次に進んでいこう」という言葉をかけていた。しかし会見を終えチームバスへ向かうフランケン監督自身、足取り重く俯いていた。
小久保が続ける。
「中には落ち込んでいる選手もいました。フィールドプレーヤーたちは90分闘って、走って、みんな疲労があります。セットプレーから点を取られて負けてしまったのは、みんな悔しいと思う。自分が中心となって、ああいう失点を無くしていかないといけません。そう思ってます」
クラブ・ブルージュに勝って2位になったことで、今季のSTVVは新たなフェーズにいる。それは追われる立場。4位だったアンデルレヒト戦がその始まりだ。年内の対戦相手となるメヘレン(5位)、スタンダール(6位)はSTVVに勝って順位を逆転させようと挑んでくる。「追われる立場」は、STVVにとって新たな挑戦。しかもクラブにとって失うものはない。
俺たちは9月のSTVVと違う――。プレーオフ1進出を目ざすライバルたちとの直接対決で、そのことを証明したい。
取材・文●中田 徹
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