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「世のなかで大儲けしているビジネスはすべて、創業者の妄想力が始まり」お金、健康、仕事…「失う」未来予測ばかりしてはいけない理由〈堀江貴文〉

「世のなかで大儲けしているビジネスはすべて、創業者の妄想力が始まり」お金、健康、仕事…「失う」未来予測ばかりしてはいけない理由〈堀江貴文〉

知識ごときにお金を使うな

未来予測には意味が無いと、僕は何度も主張している。
理論上、正確な未来予測をすることは誰にも不可能だ。
生成AIに「未来の社会はどうなりますか?」と質問しても、だいたい中学生でもわかりそうな答えしか返ってこない。そもそも質問自体がぼんやりし過ぎて、聞くこと自体、無駄な時間だ。
普通の社会人が、未来予測をすると、まず不安しか浮かんでこない。お金が、健康が、仕事が、仲間の信頼が、なくなったらどうしよう……と、だいたい「失う」ことばかりが先に出てくる。

その究極の悪い対処法が、家を買うことだ。
繰り返して言うけれど、家を買うというのは、社会人にとって最大のリスクである。例えば5000万円の家を35年ローンで買ったとする。「これで住まいの心配はなくなった!」と思える神経が、まったく理解できない。先々の35年間、自由に設計できる未来を5000万円(ローンではそれ以上の額)で売り渡しているのだ。それがなぜ、安心なのだろう?

35年分の時間を、家に固定化することなんて、とんでもないリスキーな行為だ。35年後でなくても数年後に、日本社会がどうなっているのか、まったくわからない。

家の資産価値が暴落するかもしれないし、病気や転職で、ローンを払い続けることが難しくなるかもしれない。また家族の事情や、「海の近くに住みたい」など、年齢と共に嗜好が変わって違う家に住みたくなる可能性もある。そのとき家を手放しても、ほとんどの場合は高く売れない。引っ越しだって、お金はかかるし、作業はとても面倒だ。

何であれ、一般的な社会人が家を建てるというのは、何年も自由を縛り続け、値下がりが決まっている建物に毎月の給料を吸い取られる、最悪の決断だ。
ライフスタイルに合わせて、行きたいところへ行き、住みたい場所に移り住む人生の方が断然にセーフティで、何より楽しいはずだ。

将来の不安に支配されて持ち家を買ってはいけない!リスクヘッジの正しい思考が足りない証拠だ。甘い思考で未来予測なんかしていると、本当の未来というものは余計に見えづらくなるのだと、僕は強く言っておきたい。

空想力・妄想力の活かし方によって
巨大なリターンを得られる

思考のリソースは、未来予測などではなく、空想力に回そう。妄想と言ってもいい。
多くの情報を浴びるなかで、「こんなことができるのじゃないか?」「あんな人とも一緒に仕事できるのでは?」と、不可能とされている物事の実現を、妄想してみる。それは頭に浮かんだ時点で、チャンスが飛びこんできたのと同じだ。
妄想は、行動をかけ合わせることで、形になる。思いどおりの形には、ならないかもしれないけれど、妄想しない世界には存在しなかった、自分だけの挑戦の証しを生み出せるはずだ。それは未来を憂えて蓄えた安全より、何倍も高い市場価値を持つ。

妄想は活かし方次第で、給料や貯金では遠く及ばなかった巨大なリターンを得られる可能性があるのだ。いま世のなかで大儲けしているビジネスはすべて、創業者の妄想力が始まりだ。
1980年代、アメリカの学生起業家だった孫正義さんは「売り上げを豆腐のように丁(=兆)と数える、ベンチャー企業をつくる!」という、当時としては笑い話でしかなかった妄想を抱いて、ソフトバンクを起こした。スティーブ・ジョブズも、ジェフ・ベゾスもイーロン・マスクも、IT技術を使った起業当初のビジネスは、妄想から引き出されたものだ。

世界の上位の企業家の大半は、SF小説の愛読者で、空想に熱中した青春時代を過ごしている。現実には存在しない空想の産物を、世界に立ち上がらせ、計り知れない額のお金に換えた。
彼らの成功の原点は、知識や人脈ではなく、ピュアな妄想力なのだ。

知り合いの実業家で、書評家の成毛 ( なるけ ) 眞 ( まこと ) さんは「妄想好きは稼ぐ才能がある」と、著書で述べられている。その通りだと思う。僕も20年以上前、宇宙ロケットを打ち上げる民間企業の構想を立ち上げたとき、多くの人からは「ただの妄想でしょう?」と相手にされなかった。

しかし現在、ISTはロケット打ち上げの実績を重ね、TOYOTAや三菱重工など、大手企業とも協業している。周りからは信じられなくても、行動と情熱を注ぎこめば、空想は必ず実現するのだ。

正しい未来予測ができるように、たくさん勉強して、知識を蓄える。それも悪くはないのだけれど、リミッターをかけず、妄想を膨らませよう!そして妄想がピークに達したとき、実現に挑んでみよう。
それが、あり金を使って将来の不安から解かれる最善策だ。

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