
歴代8番が勢揃い。香川真司の新たな決意と覚悟「セレッソをもっと強いチームにしないといけない」
今年1月に19年間の現役生活に別れを告げ、“サッカー文化人”に転身した元日本代表の柿谷曜一朗。彼の引退試合である「THE LEGEND DERBY YOICHIRO KAKITANI-LAST MAGIC-」が12月14日、2万人を超える大観衆が集結したヨドコウ桜スタジアムで行なわれ、本人もフル出場。2得点・1アシストという華々しい結果を残し、セレッソ大阪レジェンドが並んだ「OSAKA PINK」を4-3の勝利へと導いた。
記念すべきこの一戦には、森島寛晃を筆頭に、香川真司、清武弘嗣、乾貴士、柿谷のセレッソ歴代8番が勢揃い。全員がC大阪のエースナンバー8をつけて登場した。
残念ながら、森島と清武はキックオフ時にピッチに立っただけでプレーしなかったものの、香川と乾は60分以上出場。切れ味鋭いパフォーマンスを披露した。
柿谷も「乾君と真司君とパス交換するだけでも贅沢な話。あわよくば彼らのアシストでゴールを決めたかったですけど、一緒にピッチに立っているだけで2人の偉大さがひしひしと伝わってきた。セレッソにとって8番がどれだけ偉大かを今日、見に来てくれた子どもたちが感じてくれたと思う」としみじみ語った。
柿谷の同期である現8番の香川は「歴代8番が揃った以上、今のセレッソをもっと強いチームにしないといけないなと。そっちの方を強く思いました」と語気を強めた。
アーサー・パパス監督体制1年目の2025年はJ1で10位。優勝争いにも残留争いにも絡むことなく、カップ戦タイトルも手にできないまま、シーズンを終えることになった。
香川は今季途中の9月にも「選手は目の前の試合に向けて一生懸命やるだけ。それはプロとして当然で、目標とか方向性はクラブが道筋を示すこと。その部分で今回は鹿島と大きな差が出ましたね。悔しいけど、これは認めざるを得ない結果だと思います」と不完全燃焼感を吐露。危機感を募らせたが、その後もチーム状態が劇的に上向くことはなかった。香川自身も終盤4試合はスタメン落ち。出番も限定的だった。
だからこそ、2026年シーズンでのリベンジに燃えているはず。歴代8番はもちろんのこと、西澤明訓、大久保嘉人らクラブに関わった偉大な面々との再会を受け、「もっと自分がセレッソを強くしなければならない」という責任感を強めたことだろう。
「いろいろ組織が変わったりしていくなかで、最終的に必要なのはコミュニケーションだなと思います。今季、鹿島が優勝したのも、そこに大きな要因があるんじゃないかなと個人的に思っていて、やっぱり選手だけじゃなく、ファン・サポーター、クラブに関わるすべての人間が同じ方向を向いて戦っていけるのかが、すごく大事だと感じています」と彼は言う。
幸いにして、C大阪の場合はパパス監督が続投。今季18得点のラファエル・ハットンがチームを離れたのは大きな痛手だが、攻撃的スタイルを上積みしていくのは可能だろう。
とはいえ、ご存じの通り、来季は変則的な日程。夏からシーズン移行となるため、その前に東西2ブロックによるJ1百年構想リーグが組まれるのだ。
同大会は降格がないため、各クラブとも若手を積極的にトライさせると見られる。となれば、来年3月に37歳になる香川は、キャリアの岐路に立たされるかもしれない。2025年は33試合で2ゴールと、古巣復帰した23年に次ぐ実績を残したが、田中駿汰の長期離脱が影響した部分もあり、26年も同じように起用されるとは限らない。
そういう難しい事情も頭に入れたうえで、本人はフィジカルコンディションを維持すべく、オフの間もほぼ休まず動き続け、年明けの始動を迎えるつもりだ。
「長く8番をつけた曜一朗は、4歳からセレッソのユニホームを着ていた選手。それは僕が経験したことのない領域ですし、特別な番号であり続けるんだなと、今回の引退試合で痛感しました。それをつけている自分には、もっともっとやれることがあると思います。
来季は間違いなく難しいシーズンになるでしょうし、セレッソもどこに目標を置いて戦うのかをしっかり持っておかないと、本当に空中分解しかねない。まずは2026年前半の半年間を良いものにするために、チームの考え方を明確にして、自分もどういう選手でありたいかというイメージをしっかりと持つこと。それが大事になってきますし、そういうシーズンにしたいなと思います」
香川にとって柿谷の引退試合は、新たな決意と覚悟を抱く機会になった様子。乾や倉田秋ら同世代の現役選手たちと刺激し合いながら、貪欲に前進してほしいものである。(文中敬称略)
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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