
『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)
【画像】え…っ! 「日本人より似合う」「かっこいい」 コチラが来日1年目の小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の「羽織袴」姿です
ラフカディオ・ハーンの来日後初著作に書かれているのは
2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)さんと、彼を支えた、妻・小泉セツさんがモデルの物語です。
第11週55話最後に流れた第12週「カイダン、ネガイマス。」の予告では、主人公「松野トキ(演:高石あかり)」が、未来の夫「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」に対し、ついに大好きな「怪談」を語ることが明らかになりました。
1年後にはもう松江にはおらず、過去の苦い体験から他人と深い関係にならないことにしているヘブンが、なぜトキと結婚することになるのか気になっていた視聴者からは、「怪談がヘブンの求めてたラストピースになるのか」「ついに結ばれるフラグが立った」と、興奮の声が出ています。
ヘブンのモデルであるハーンさんに対し、幼い頃から物語好きだったセツさんが、さまざまな「再話文学」の元ネタとなる怪談を語ったのは有名な話です。視聴者からは、「どの怪談を最初に話すのか」が気になるという声も上がっていました。
1894年、ハーンさんが来日後に初めて発表した作品『知られぬ日本の面影』には、いくつかセツさんが語ったと思われる怪談が載っています。そのなかでも注目が集まるのは、『ばけばけ』でトキの前夫である鳥取出身の士族「山根銀二郎(演:寛一郎)」が彼女に話した、悲しい兄弟にまつわる怪談『鳥取の布団』です。
銀二郎のモデル・前田為二さんがセツさんに語ったという『鳥取の布団』は、『知られぬ日本の面影』の「日本海に沿って」という項に収録されています。こちらは夫婦となったばかりのハーンさんとセツさんが、1891年8月に鳥取へ旅行に行ったときの紀行文です。
ハーンさんは文中で、『鳥取の布団』を鳥取旅行で訪れた浜村温泉の宿の女中から聞いた話だと記していますが、『新編 日本の面影』(2000年出版)を翻訳した英文学者・池田雅之さんや、ハーンさんたちのひ孫である小泉凡さんは、実際はセツさんが八雲さんに語った怪談だと考察しています。
トキが最初にヘブンに語る怪談の候補は、『鳥取の布団』が有力ですが、ヘブンに来日後初の怪談を語るのは別の人物かもしれません。
『知られぬ日本の面影』で、「日本海に沿って」よりも前に書かれている「神々の国の首都」という項には、ハーンさんが松江の大雄寺(だいおうじ)の住職から聞いた「飴を買う女」の怪談が載っています。
こちらは「顔色が悪い女が毎晩、水飴を買いに来るため、飴屋の主人が不審に思ってあとをつけてみると、寺の墓場でその女の亡骸と生きている赤ん坊を見付けた」という、有名な怪談です。死んだ後も水飴で赤ん坊の面倒を見ていた母親の霊の話に感銘を受けたハーンさんは、「『愛は死よりも強し』というわけである」と記しています。
この話を語ってくれる大雄寺の住職を演じると発表されているのは、大ベテラン俳優の伊武雅刀さんです。公式サイトでも、「トキとヘブンに寺に伝わる怪談を語る」と説明されています。伊武さんのおなじみの渋い美声で語られる、悲しい怪談に要注目です。
※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」
参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(著:長谷川洋二/潮出版社)、『セツと八雲』(著:小泉凡/朝日新聞出版)、『新編 日本の面影』(著:ラフカディオ・ハーン/訳:池田雅之/KADOKAWA)
