スーパーフォーミュラにはこれまで、ストフェル・バンドーンやピエール・ガスリー、リアム・ローソンなど、F1昇格を控えた有力な外国人ドライバーが参戦し、高いパフォーマンスを見せてきた。そして2026年シーズンに向けて、彼らに追随する存在になりそうな予感を漂わせているのが、先日鈴鹿で行なわれた合同・ルーキーテストに参加したウイリアムズ育成ドライバー、ルーク・ブラウニングだ。
ブラウニングは2020年イギリスF4チャンピオン、2022年GB3チャンピオン、2023年マカオGP優勝といった実績を誇る。2024年にはFIA F3でランキング3位、2025年にはFIA F2でランキング4位という成績を残し、テストやフリー走行を通して、現行のウイリアムズF1マシンも経験済。F1昇格に向けて実績は十二分にある。
F2は今季限りで“卒業”し、来季は参戦しないというブラウニング。F2は1シーズンの参戦で実力の証明が十分できたと考えているという。
「F2では自分の実力を証明することができたと思う」
「参戦1年目でランキングトップにも立ったし、ポールポジションも優勝も記録した。僕たちには不運なことも多かったから、もう少し物事がうまくいっていれば楽にチャンピオンになれたと思っている」
「それに、F2で2年目をやるという決断を下すなら、契約の関係でシーズンのかなり早い段階で決める必要がある。もう1年やらないと決める時点では、チャンピオンになれる可能性もあったから、その決断を下す理由のひとつになった」
今回のスーパーフォーミュラテストではKONDO RACINGから参加し、非凡な速さを見せたブラウニング。「全てはF1のための準備」だと語る彼は、F2卒業が決まった今、KONDO RACINGのドライバーとしてスーパーフォーミュラに来季フル参戦することが有力視されている。
F1チームが自軍の若手をスーパーフォーミュラに送り込む意図は様々だ。レッドブルはガスリーやローソンなど、F1昇格の見込みがありながらもタイミングを逸していたドライバーを日本最高峰のシングルシーターでさらに成長させ、実際にF1へと昇格させた。一方で2024年にテオ・プルシェールを送り込んできたザウバーは、「日本でプルシェールを鍛える」というよりも、レギュラー昇格の見込みがない彼がトヨタとコネクションを作って日本のカテゴリーやWEC(世界耐久選手権)など次へのステップに向かえるようにする、半ば“親心”のような文脈が強かったように感じられた。来季ウイリアムズの現役育成ドライバーがスーパーフォーミュラに参戦することとなれば、それは初めての例となるが、彼らはどんな考えなのだろうか。
ウイリアムズは早い段階でアレクサンダー・アルボンとカルロス・サインツJr.の2026年残留が決まっており、ブラウニングにとっては来季昇格の可能性はほぼなかったと言える。そのため、来季は日本でF1昇格に向けた“最終準備”に充てる……そんな意図なのかもしれない。それは「全てはF1のための準備」という本人のコメントとも整合性がとれる。
来季スーパーフォーミュラに参戦するなら、“最終試験”の場として自らの実力を証明する必要があるのかと尋ねると、ブラウニングはこう答えた。
「そうは思っていないよ」
「僕はサーキットやマシンのスピードを経験するためにここに来ている。来年の僕の計画については何も発表できるものがないけど、自分の将来が良い状況にあって、僕は納得している。もう少しすれば分かるはずだ」

