メニューと注文画面が似すぎて分からない焼き鳥屋
次は、とある焼き鳥屋のケース。
席に置いてある紙のメニューと、モバイルオーダーのUIがほぼ同じデザインでした。文字の配置も、写真の雰囲気も似ている。見た瞬間、「紙のメニューを見ながら、スマホで同じ場所をタップして注文できるという、あの新しいタイプのUIか」と思ったのです。
ところが違いました。紙のメニューは紙のメニュー。スマホはスマホ。雰囲気は似ているけれど、お互いは全くリンクしていません。
紙のメニューで食べたいなと思っても、スマホのそっくりな画面にはない。こういう「期待」と「挙動」のズレを前に「きっと紙のメニューを渡して『そっくりに作ってくれ』とか伝えたのかな」と思いを馳せるのも、モバイルオーダーUIならではの楽しさかもしれないと思った次第です。
サイゼリヤの“数字だけ書く”スタイルはなぜ迷わないのか
サイゼリヤはコロナ禍の頃から、紙のメニューを見ながら料理番号を紙に書いて渡す方式で知られていました。それが最近では、電卓のような入力UIに変わりました。メニュー番号を数字で打ち込むだけという、独特なスタイルです。
このUI、モバイルオーダーが主流になりつつある今の時代に照らすと、かなり異質です。写真をタップするわけでもなく、メニュー一覧をスクロールするわけでもない。ただひたすら数字を入れる。
本来なら分かりづらいはずなのに、不思議と迷わないのです。
理由を考えてみると、「サイゼの注文は番号を書くもの」というユーザーの習慣が、すでに深く浸透しているからかもしれません。UIとして合理的かどうかではなく、「いつもこうだから」という文化が、そのままデジタルに移植されている感覚があります。
デジタル化とは“新しい体験に置き換えること”だと思いがちですが、ときには“元の習慣をそのままデジタルで再現する”ほうが直感的な場合もあるのだと気づかされました。

