
『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)
【画像】え…っ! 「やっぱり」「早く見たい」 コチラが小泉セツがラフカディオ・ハーンに「いちばん最初に語った怪談」です
怪談好きでも「悪夢」は見る?
2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲さん(パトリック・ラフカディオ・ハーン)と、彼を支えた妻・小泉セツさんがモデルの物語です。
明日第12週57話では、主人公「松野トキ(演:高石あかり)」と、彼女の未来の夫「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」が、大雄寺の住職(演:伊武雅刀」から「水あめを買う女」という怪談を聞くことが予告されています。
こちらは、ラフカディオ・ハーンさんが1894年に発表した来日後初の著作『知られぬ日本の面影』にも収録されている、有名な怪談です。あらすじを見ると、ヘブンは「水あめを買う女」を聞いて「すっかり怪談に魅了される」と書かれています。
これからトキがヘブンに自分が怪談好きであることを打ち明け、モデルの小泉セツさんとハーンさんのように距離が縮まる、という展開になるのでしょう。
ハーンさんが発表した著書の多くは、セツさんが語ったという怪談をもとにした「再話文学」です。セツさんがハーンさんの死後発表した追想録『思ひ出の記』では、彼が特に気に入った話は代表作『怪談』のなかでも有名な、「耳なし芳一」の怪談だったと語られています。
セツさんは、出雲大社の神官の家の養女だった養母・トミさんからさまざまな怪談や不思議な物語を聞いて育ちました。幼い頃から周囲の大人にさまざまな話をねだる、大の物語好きだったそうです。
そんなセツさんも、ハーンさんに怪談を語る際には苦労したらしく、『思ひ出の記』では怪談話を求めて古本屋を何件もはしごしたことも綴られていました。また、怪談を語り過ぎて、「悪夢」を見たこともあったそうです。
『思ひ出の記』で、セツさんは
「淋しそうな夜、ランプの心を下げて怪談を致しました。ヘルン(ハーン)は私に物を聞くにも、その時には殊に声を低くして息を殺して恐ろしそうにして、私の話を聞いて居るのです。その聞いて居る風が又如何にも恐ろしくてならぬ様子ですから、自然と私の話にも力がこもるのです。その頃は私の家は化物屋敷のようでした。私は折々、恐ろしい夢を見てうなされ始めました。この事を話しますと『それでは当分休みましょう』と云って、休みました」
と、当時のことを振り返っています。
セツさんがハーンさんに怪談を語る際は、まず大まかな筋を説明し、それをハーンさんが面白いと思うと詳しい内容を話す、という順番だったそうです。また、ハーンさんが気に入った話は、何度も繰り返し語るように頼まれたといいます。
また、セツさんが本を読みながら怪談を語ろうとすると、ハーンさんは「本を見る、いけません。ただあなたの話、あなたの言葉、あなたの考でなければ、いけません」と言ってきたそうです。彼は、セツさんが「自分の物」にした怪談を聞きたがったといいます。そのため、さすがのセツさんも怪談に関する悪夢を見てしまったのでしょう。
『ばけばけ』でも、今後ヘブンが怪談に夢中になり過ぎて、トキが悪夢を見るという展開があるかもしれません。
※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」
参考書籍:『思ひ出の記』(ハーベスト出版)
