地球温暖化が解決してくれるわけでもない
第3のリスクは、再生可能エネルギーの限界である。太陽光発電は天候に左右され、夜間や悪天候時には全く機能しない。需要がピークに達する冬の夕暮れ時に、太陽光は頼りにならない。
さらに、気象条件も我々に牙をむく。「地球温暖化が進んでいるのだから、冬は暖かくなり、電力需要も減るのではないか」。そのような安易な期待もまた、現場を知る人間によって完全に否定された。先述の東京電力幹部は、次のように断言している。
「温暖化によって平均気温が上がることがリスクを減らすことはない。1日でも寒く、太陽が出ない日があることがリスク」
ビジネスにおいて、平均値だけでリスク管理を行う経営者はいない。電力需給も同様だ。年間の平均気温ではなく、最強寒波が襲来し、太陽光発電が稼働しない「最悪の1日」に耐えられるかどうかが全てである。
平均して暖かくても意味がない。たった1日、たった数時間、電気が足りなくなれば、社会は大混乱に陥るからだ。
想定外は1つ起きるだけで警報圏内に突入
仮に、次のようなシナリオを想定してみよう。
2026年X月中旬、強烈な寒波が首都圏を襲い、気温が低下。需要が急増する中、東京湾岸にある大規模な火力発電所が1基、老朽化によるトラブルで緊急停止する。
同時に、中東情勢の悪化でLNGタンカーの到着が1日遅延する。この複合的な事態が発生すれば、東京エリアの予備率は瞬く間に1%を割り込むだろう。東京電力管内は、もはや「想定外」が1つ起きるだけで、警報圏内に突入するほどに追い詰められているのだ。
この絶望的な状況を打開する、確実かつ唯一の方法は、東京電力ホールディングスが所有する世界最大級の原子力発電所、柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働だ。
柏崎刈羽原発には7基の原子炉があるが、そのうち6号機と7号機は、新規制基準に基づく安全審査に合格済みだ。
特に6号機は、燃料装荷を行った上での検査など、初準備が2025年10月28日までに終わり、「技術的な起動準備が完了」した状態にある。
エネルギー価格の高騰は、経済活動の首を真綿で締めるように苦しめる。高コストな化石燃料や不安定な再生可能エネルギーに固執することは、日本企業に重い足枷をはめ、国民に目に見えない重税を課しているのと同じだ。企業は利益を圧迫され、賃金は上がらず、経済は停滞する。

